キャリアガイダンスVol.406
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 現在のキャリア教育における課題の一つが「評価」。さまざまなプログラムを取り入れてはいても、それによってどれだけ生徒が成長したのかを、教員、生徒ともに客観的に把握することはなかなかできていないのが多くの高校における現状だろう。そんななかで注目するべき取り組みをしているのが由利高校だ。 女子校だった同校は2007年度に共学化。同時に、普通科に加えて、理数科と国際科が設置された。現在のかたちでのキャリア教育がスタートしたのは、秋田県のキャリア教育実践モデル校に指定された2012年から。当時の由利高校はある課題を抱えていた。「本校は、あいさつや礼儀、友達や周りの人を大切にするといった人間教育に関しては意識して取り組んできた伝統があり、生徒たちもしっかりやれています。ただし、勉強にしても、部活動にしても、自分から積極的に行動することに関しては物足りない面があります。一方で、共学化を契機に進学者の割合は増えており、特にAO・推薦で受験する生徒が多いことから、『素直なだけでは厳しい。もっと積極性や自主性を身につけさせないと』という認識は教員が共通してもっていました」(進路指導部副主任/佐々木望先生) それまでもディベート、新聞記事の切り抜き、インターンシップ、課題研究といった、いわゆるキャリア教育に類する教育は行っていた。しかし、それらが生徒を劇的に変えるまでには至っていなかったという。「一つひとつの取り組みが単発で自己目的化してしまっていた面があったと思います。また、学年主任や担任の意識の違いで力の入れ方にも差がありました。そこで、キャリア教育の観点から、すでにあるプログラムや行事について、何のためにやるのかを改めて考え、内容や実施時期などを整理しました」(佐々木先生) 例えば、1年次に行う新聞ノートの作成を、新たに振り返りの機会を設けることで2年次の課題研究のテーマ選びに連動させるなど、つながりや積み重ねを意識して3年間の一貫した全体計画を作成。全教員が共有できるようにした。 2014年度からは、全体計画をベースに生徒が3年間使用するキャリアノートを導入。生徒自身が、キャリア教育に関して自分が積み重ねてきたもの、これから取り組むことを俯瞰してとらえられるようになった。また、この一冊にワークシートが集約されているので、個々の教員が、授業ごとにシートを作成する手間に煩わされず、指導に専念できる体制も整えることができたという。 一方、イベントをこなすだけで終わらせないためには生徒が自身の成長を評価できるしくみが必要だと考え、佐々木先生が作成したのが「Can-Doリスト」(図1)だ。文部科学省が定める基礎的・汎用的能力を参考に由利高校の生徒に身につけてほしい63項目をリストアップしたチェックリストで、生徒が自分自身で「できる/できない」を判断して回答するもの。これが同校のキャリア教育における軸となっている。 全体は、「学習への取り組みについて」「学校生活の過ごし方・人間関係について」「進路計画とその実践について」「部活動、体験活動、地域との関わりについて」の4つのシーン別に構成。各シーンに10〜20弱のチェック項目が設1920年創立/普通科・理数科・国際科/生徒数553人(男子211人・女子342人)/進路状況(2013年度実績)大学46.9%・短大11.9%・専門学校23.7%・就職14.1%・その他3.4%School Data基礎的・汎用的能力を基にCan-Doリストを作成生徒の積極性を育むためキャリア教育を見直す「Can-Doリスト」評価で生徒自身が成長や課題を把握取材・文/伊藤敬太郎秋田・県立由利高校342015 FEB. Vol.406

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