キャリアガイダンスVol.406
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藤田晃之(筑波大学)『キャリア教育基礎論』実業之日本社児美川孝一郎(法政大学)『キャリア教育のウソ』ちくまプリマー新書||その際、評価をどうするかというのも悩ましい課題です。藤田▼これについても、「評価をしよう」という掛け声があまりに多いため、やること自体が目的になっているケースがあります。インターンシップにしても、アウトプットとして「何日間行きました」とか「参加率は何%です」ということは出すけれど、それを通して生徒がどう変容したかという点が議論として起こりづらい。児美川▼ただ、アウトプットではなくアウトカムでキャリア教育の効果を図るときの手法ってなかなか難しいですよね。そういうことを国が指針として出せないものでしょうか。藤田▼それに関しては考え方がわかれるんです。というのも、アウトカムというのはゴール設定と表裏の関係なので、ゴールをどうするかという議論が個別に必要です。それなのに国が「例えばこういうゴールが考えられますね」と提示すると、校種も規模も立地も関係なく、同じような目標になってしまいかねません。そのため敢えて出していないのですが、そのことで先生方に負担感があるのは事実でしょう。また、評価をしたところで、その妥当性や信頼性もわからないという声も聞きます。暗中模索しているところなんです。個人的には、ゴールそのものではなく、ゴールの設定の仕方や、生徒の成長や変容の見取り方、さらには出てきた数値の扱い方などを提示していくことが必要だと感じています。児美川▼それはキャリア教育にかかわる研究者の責任でもありますね。||最後に全国の先生方に応援メッセージをいただければ。児美川▼孤独を感じることもあるかもしれませんが、同じような思いをもつ人は必ずいます。つながる相手は、他校の先生かもしれないし、保護者かもしれないし、地域の人かもしれません。そうしたつながりに、勇気づけられることもあるでしょうし、自分がやりたいことのイメージを広げるきっかけになるかもしれません。繰り返しになりますが、重い鎧を脱げば、やれることはたくさんあると思います。藤田▼生徒にとって、一番身近な大人のサンプルは、親であり先生方です。だから大人としての生き様を示してほしいと思います。例えば、「息子が中学入試で不安なんだよね」とか、「親が今入院していて大変なんだ」など、大人としての喜怒哀楽をできる範囲で、ぜひ自己開示してください。お子さんを授かった男の先生であれば、奥さんが分娩室に入ったという連絡を携帯電話で受け取ったときの、気が気ではない状況を話してほしいのです。そうすることで感じる、「大人って子どもが入試の時はこんなに不安なんだ」とか、「自分が生まれた時もこんなふうに迎えられたのかな。親になるってすごいことだ」といった感覚は、きっと今後の生き方に影響するはずです。小学生には早くても、高校生であれば受けとめられることはたくさんあります。そうした身近なところからキャリア教育を始めてほしいと思います。自己開示が大切自らモデルになってほしいキャリア教育の今後を展望するメッセージ392015 FEB. Vol.406

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