キャリアガイダンスVol.406
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本学の前身である小西写真専門学校は、写真に関する技術者の育成を目的として1923年に誕生しました。その後、90年以上にわたり、工学と芸術の2分野で発展を遂げてきた本学は、今も、工学部と芸術学部からなるユニークな学部構成という特色を有しています。 こうした先見性は明らかです。現代において、デザイン性のない工業製品が市場に受け入れられることはなく、テクノロジー抜きにメディア芸術は語れません。工学と芸術の連携・融合は必須です。例えば、両学部の学生がそれぞれメカとデザインを担当した電気自動車をコンペに出品すると、他大学とは明らかにビジュアルが異な イラストレーターでもある私は、児童・生徒の絵の審査を頼まれることがあります。その際に気づくのは、小学生までは独創的な作品が多いのに対して、中学生になると途端にキャラクターのような絵であふれること。技術はあがるのに急速に個性が薄れるのです。同質社会において型にはまると、そこからはみ出すことは困難です。大事なのはデッサン力ではなく感性であり、自分がおもしろいと感じるかどうかです。 入学式の式辞で「明日からは自分の好きなことをみつけてほしい」と繰り返し述べているのもそのためです。これまでの成績の良し悪しなど関係ありません。好きなことさえみつかれば、人は努力しますし、自分なりのおもしろさを大事にすることが成長するということです。 一般に欠点と言われることでも個性です。人から変に見られ、自信をなくしている若者こそ大歓迎。大いに化けてもらいたいと思います。大学の施設やカリキュラムはそのためにあるのですし、教職員はそのためにいるのです。【学長プロフィール】わかお・しんいちろう●1942年生まれ。東京藝術大学美術学部卒業。同大学院美術研究科デザイン専門課程ビジュアルデザイン専攻修士課程修了。イラストレーターとして活躍するかたわら、短期大学、専門学校などで講師を務める。94年東京工芸大学着任(芸術学部・教授)。2003年同芸術学部長就任。08年4月より現職。【大学プロフィール】1923年小西写真専門学校として創立。工学部(メディア画像学科、生命環境化学科、建築学科、コンピュータ応用学科、電子機械学科)、芸術学部(写真学科、映像学科、デザイン学科、インタラクティブメディア学科、アニメーション学科、ゲーム学科、マンガ学科)の2学部12学科。工と芸の連携を通じて、自分なりの「おもしろさ」を追究してほしいり注目を浴びます。 正課の実習科目である「工房」において、工学部の学生がマンガを描いたり、芸術学部の学生がロボットを製作したりすることもあります。人にはさまざまな能力があり、共に学ぶなかで、それまで気づくことのなかった才能を開花させる環境を提供したいと考えています。 特に1、2年次は両学部がそろって厚木キャンパスで学ぶため、互いが大いに刺激を受けるはずです。実際には、工と芸の連携の余地はまだ大きく残されています。今後、100周年に向け、学生、教員はもちろん、地域の人も行き来する交流スペースの設置も考えていきたいと思います。̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/沼尻淳子東京工芸大学学長若尾真一郎412015 FEB. Vol.406

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