キャリアガイダンスVol.406
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りますよね(※⑦)。形成的評価をするには、活動のログ、つまりは学習記録を取って確認し、生徒のよい点や勘違いに即フィードバックすることが重要になります。その点で、iPadなどをうまく使えば個々の学習を記録しやすくなります。ぼくはそこにICTの活用のよさがあると思うのです。自分の授業では、最後に生徒が毎回、学習のふり返りのためのプリントも記入します。三原数 ぼくの場合は、1〜2週間に1回、生徒のノートを集めて、生徒が何を考えながら学んだかをみています。ノートは好きなように書けばいい、としているので、落書き帳で提出する生徒もいます。学習プロセスを見るための記録としては、あまり枠を決めず、生徒が自由に書けるものがいいかなあ、と考えています。山崎国 問題は、そうした学習記録を、形成的評価としてどう使うかですよね。高橋英 学習記録に対してコメントを返す、という形で評価しています。あとは生徒がよくわかっていなかった点を次の授業で補足するようにしています。成績については、残念ながら今は試験でしかつけられない、と考えています。吉田社 自分の授業でも、最後に生徒がコンセプトマップコメントというのを書くのですが、それについてはコメントを返す形で評価し、成績には入れません。そのほうが生徒が萎縮せずに書けるからです。形成的評価で重要なことは、成績に入れないことではないでしょうか。な、とモヤモヤしながら帰りたいです。吉田社 授業のことは同じ教科の先生と話すことが多いのですが、本日、違う教科の先生方に「うん、うん」と納得や共感をしてもらえた内容が、「教科に共通する学び」になると感じました。ただ、教科という文脈を抜きにして、問題解決能力などを高められるかというと、ぼくはそこは疑問なんです。例えば「コンビニが値下げせずに定価で売るのはなぜか」「アメリカのコンビニの形態が日本と異なるのはなぜか」といったことを考える時、社会科で学ぶ経済や地域の特色を理解していないと、うまく思考を高められないと思うのです。教科を越えて共有できるものを探る一方で、同時に教科の固有性にも気を配る必要があると思いました。山崎国 生徒に何を学んでほしいかを考える時、私たちはいわゆる「知識」と、思考力などの「能力」を、分けて考えることがあります。ですが、科学的な見方をするには科学の知識も必要になるなど、実際は「知識」と「能力」は切り離せず、相互作用的に高まっていくものだと私も感じました。知識と能力の関連性も含めて、吉田先生が言われた「この教科でしかできないこと」を考えることも重要ですね。とはいえ、生徒が主体的に学ぶためのしかけや、教室内での関係づくり、評価の工夫など、教科を越えて共有できたこともたくさんあり、これからの授業に生かしていくことができそうです。今日はありがとうございました。生徒も実証性や再現性とは何かがわかってきて、3回目ぐらいには、生徒の自己評価と相互評価、私の評価がほぼ一致してくるのです。評価とは誰かを責めることではなく、お互いを高めあうために行うものだ、とも理解していきます。山崎国 評価は人間関係に左右されがちですが、相手への感情と意見を切り離して考えるなど、そこを乗り越えたものの見方を、授業を通して生徒ができるようになると大きいですね。日常の人間関係も改善していくように思います。学習プロセスをみるために記録を取り、適切に評価する高橋英 ぼくも生徒と評価基準を事前に共有して授業をしているのですが、評価には、形成的評価と総括的評価があ教科を越えて共有できることこの教科でしかできないこと高橋英 ここまで話してきたことというのは、多くは学びの作法のようなことで、基本的には、教科は関係なく、先生方全員で考えていけることなんですよね。僕はそのように、教科を越えて連携する文化をつくることが大切だと思うんです。須藤情 その連携する文化をつくるには、みなで共有できるツールがあるといいのかなと思います。例えばうちの高校では、情報の授業で、マインドマップという思考ツール(※⑧)を使い、生徒が思考プロセスを可視化することを学びます。そのツールを、ほかの先生が国語の授業や進路指導でも活用してくださっているんです。私は、浅野先生が「アートもツールの一つ」と話されていたことが印象に残っていて。思考ツール、ICT、アートなど、生徒が学びたい時や社会とかかわりたい時に使えるツール、要は「生徒が使いたい時に使えるツール」を先生方と協力して増やしていきたいです。そうすれば生徒は、自分が欲しいツールを、さまざまな教科のなかから自分でも探したり生み出すようになると思うのです。三原数 今日は、いろいろな教科の先生方から数学につながる話をふっていただけたのですが、では自分の授業で、ほかの教科の学びを生かせる場をつくれているかというと、あまり手を出せていない、と思いました。数学からはほかの教科にどうつなげていけるだろう、そこが課題だ個人またはみなで物事を考える時に、その思考の手助けをしてくれるツール。紙に書いた軸や、チャート図、樹形図、付箋などを頼りに、考える方向性を定めたり、情報を比較したり、分類したり、関連づけたりする。ベン図やXチャート図、マインドマップやKJ法など、さまざまな思考ツールがある。問題解決型学習や探究活動では、考えることや情報を分析することが重要になるが、どこから手をつければいいかわからない生徒は多い。思考ツールは、そうした生徒が「考えるプロセス」を学んでいく一助となる。思考ツール学期末テストや作品の提出で、生徒が何をどれほど学んだか、全体を見渡すのが総括的評価。一方、毎授業の小テストやふり返り、コンスタントなノートの提出などで、生徒が物事を理解したり何かを形づくったりするその過程に、方向性のずれや、すばらしい点がないかみることを、形成的評価という。形成的評価でこまめにフィードバックをしていくと、生徒は自分の勘違いやよかったところに早めに気づけるので、学びを深めやすくなる。また、教師のほうも、生徒たちの学びの進度に合わせて、授業計画を修正していける。形成的評価と総括的評価ある先生の発言に、ほかの先生たちが強い共感を示す場面も多く見られた⑧⑦472015 FEB. Vol.406

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