キャリアガイダンス vol.407
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 2014年12月、トヨタ自動車は、量産型としては世界で初めてのセダン型燃料電池車「MIRAI」を発売した。燃料電池車(FCV)とは、タンクに充填した水素と空気中の酸素を化学反応させて発電し、その電気を動力にして走る自動車のこと。 ガソリンにせよ植物から生産するバイオ燃料にせよ、燃料を燃焼させてエンジンを動かすと排ガスやCO2が発生するが、燃料電池車が走行時に排出するのは水だけ。そのため「究極のエコカー」と呼ばれている。 ただし、燃料電池車に水素を充填するには街中に水素ステーションが必要だ。こちらは、今のところ開設予定も含めて全国で20カ所にも満たない。今後、燃料電池車が普及していくためには、自動車単体の技術革新や低価格化もさることながら、水素ステーションを増やしていくことが大きな課題になる。 この事業に取り組んでいるのは、ENEOSや岩谷産業、東京ガスなどのエネルギー関連の企業。東京都などの自治体も支援に動いている。 つまり、「MIRAI」の登場は、単に次世代型の自動車が生まれたという話にはとどまらない。トヨタが「MIRAI」とともに提示するのは環境に未来をどう描く?企業の戦略に学ぶ「MIRAI」で創る水素社会トヨタ自動車展望編未来は確かに不透明で、どうなるかは誰にもわかりません。しかし、決まっていないからこそ自分たちで理想の未来を描き、自分たちの手で未来を創っていくこともできるのです。実際に、遠い未来を見据えて事業に取り組んでいる企業、トヨタとソフトバンクの未来の描き方、創り方に学んでみましょう。やさしい水素が主要なエネルギーとして浸透した「水素社会」。それを実現するには、トヨタ以外の多くの企業や国、自治体、さらには自動車ユーザーもかかわっていくことが必要になる。「MIRAI」は車名のとおり、みんなで創り上げる「未来」を指し示す自動車と言える。 では、トヨタが描く「自動車とエネルギーの未来」をさらに掘り下げてみよう。キーワードは「エネルギーの多様化」だ。実は「水素社会」は必ずしも水素オンリーの社会を意味している図1 石油代替燃料のそれぞれの特徴取材・文/伊藤敬太郎「究極のエコカー」として注目される「MIRAI」電気EV水素FCVバイオ燃料内燃機関天然ガス内燃機関Well to Wheel CO2 (※)~~~供給量航続距離給油時間(充電/充填)インフラ電気自動車は現段階では1回の充電で走行できる距離(航続距離)は短い。バイオ燃料は農作物が原料なので安定供給に弱みがある。水素は供給施設(インフラ)の拡充が課題だ※一次エネルギーの採掘から車両走行までの温室効果ガス排出量トヨタ自動車資料より作成122015 MAY Vol.407

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