キャリアガイダンス vol.407
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を追求し、あまりに過酷な労働環境の企業は、労働者に選ばれず、淘汰されてしまうのではないでしょうか」 以上の傾向を踏まえれば、企業には徹底的な〝経営の効率化〞が求められる。しかし、「低賃金で長く働かせる」やり方ももはや通用しない。 「労働者が不足していますから、企業は人を大切にするようになります。中高年に関しては社内で余ってしまう層も生まれると見ていますが、少なくとも若手人材に関しては強くリテンション(人材を確保するための施策)をかけてくることになるでしょう」 しかし、高度成長期のように、すべての社員に対して毎年給料を上げる、終身雇用で一生面倒を見るといったやり方は現実的に採ることはできない。そこで考えられるのは、人材の選別と差別化だと中村氏は言う。 「まず企業の中核を担う人材と、それ以外の人材とは明確に選別されます。中核人材に対しては高い賃金を払うこともあるでしょうが、それ以外の人材に関しては、ほかの方法でリテンションをかけることになるでしょう」 具体的には、労働時間や働く場所、仕事内容などに関して、すべての社員に一律のルールで対処するのではなく、個人の希望に応じた対応をしていくことになると中村氏。 「ここで、働く側の意識の変化も考える必要があります。もうすでに始まっていますが、2025年には、働く人の価値観の多様化がさらに進んでいるはず。必ずしも従業員のすべてが出世や高い給与を求めるわけではなく、自分の価値観に応じた働き方を求めるように、今以上になっているでしょう。一方、これからは高齢化や人口減少でさまざまな社会課題が噴出します。企業にはその解決にあたってほしいという社会的要請も生まれるし、そういった課題に自ら取り組みたい個人も増えていく。そこでは、会社側の事情と働き手の思惑が合致することになるわけです」 2025年時点では国籍などのダイバーシティももちろん進んでいることが予想されるが、それ以上に企業と働き手との関係においては、この「働き方のダイバーシティ」がより大きなテーマとなっていることが考えられる。企業は今の時点でも、それに対応したマネジメントを導入している。例えば、ファーストリテイリング(ユニクロ)が採り入れている地域限定社員などがその例だ。今後10年の間に、このような施策がより一般的なものとして浸透している可能性は非常に高いと言えるだろう。 働く人たちにとっては、会社に入ったからといって、全員が一律のルールに従って、同じ働き方をする時代ではなくなる。副業に関する規制なども緩和されることが予想されるので、会社の仕事とは別に仕事を持つという選択肢も生まれる。 例えば、会社員でありながらNPO法人も運営して社会貢献活動をする、副業でWebビジネスを行うといった働き方も、より浸透するだろう。 さて、ここで気になるのが、いわゆる正規・非正規の問題だ。これまでのシミュレーションと分析を通して、今以上に非正規雇用が増えていくのではないかと心配になっている先生もきっと多いはずだ。 では、正規・非正規の比率はどのように推移していくのか。図6を見てほしい。就業人口が全体的に減っていくなかで、正規の職員・従業員の数も減ってはおり、正社員比率も漸減ではあ価値観の多様化がいっそう進んでいく正社員と非正規社員の差がなくなっていく図5 2025年までの就業者数の推移2015年2025年差分1人当たり所得355.4万円341.5万円ー13.9万円総所得223兆円208兆円ー15兆円図6 就業形態の変化と正社員比率の推移6,0005,0004,0003,0002,0001,00007674727068666462605856万人%20002005201020152020202573.9%67.4%65.6%64.3%63.0%62.1%3663337533553302328831461105111911921229126711907316505825394934253627610596330366101390104424103153130137136124124■■ 自営業・家族従業者  ■■ その他雇用者■■ 契約・嘱託  ■■ 労働者派遣事業所の派遣社員■■ パート・アルバイト  ■■ 正規の職員・従業員   雇用者に占める正社員比率年182015 MAY Vol.407

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