キャリアガイダンス vol.407
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ために重要なのがこの構成主義学習なのです」 構成主義学習理論は、世界は客観的事実(=正解)として存在しているわけではなく、その人が自分の目で見た世界がその人にとっての世界だという考え方。つまり、経験を重ねて成長すれば、その人にとっての世界の見え方も判断や行動の仕方も変わっていく。間違えてもその間違いから学んで成長することができる。これが正解のない時代に未来を創るためには有効なのだ。 その際に大切なのがリフレクション(=振り返り)だ。 「あのとき自分は何を感じ、どう考え、なぜあのように行動したのかをそのつどしっかりと振り返ることで、自分を客観的にとらえる『メタ認知能力』が養われます」 メタ認知能力が高まれば、経験から学ぶ力もさらに高まっていく。 「不確実な時代には一人で何かを完結することが難しい。さまざまな個性や専門性を持った人たちがアイデアを出し合ってコラボレーションすることが、企業の現場でもこの15年ほどで一気に浸透しました。今後20年はこれがグローバルなレベルで拡大していくでしょう」 そこで重要になってくるのが、思考・文化・価値観が異なる相手とお互いに認め合って何かを創り上げるコラボレーションスキル。これも経験からしか学べないスキルの一つだ。 何かを成し遂げるには仲間が必要不可欠な時代。コラボレーションスキルとは別に、共に働く仲間との人間関係の質を高めることも重要になっていると兼清氏は指摘する。 「去年の秋ころから急に、企業から組織開発に関する相談が数多く寄せられるようになりました。いくら優秀な個人を育てても、組織にネガティブな雰囲気があれば、成果にはつながらない、組織を変えなければダメなんだと、人事が気づき始めたということだと思います」 「関係の質を高める」とは、つまり、お互いをよく理解し、自然と声を掛け合ったり助け合ったりできる関係を築くということ。 「組織内で関係の質が高まると個人の思考の質も高まります。そして、何よりその組織で働くことが楽しくなるはずです」 仲間とともに未来を創ろうと思ったら、未来への思いを共有することが必要。そこで、兼清氏が提案するのはストーリーを語ることだ(図2)。 「例えば、選挙の立候補者に『安心・安全なまちづくり』とだけ訴えられてもイメージが湧きにくいですが、その候補者が、『日曜日、公園では子どもたちの笑い声が聞こえ…』と自分の理想とする街の情景を丹念な言葉で語ったとしたら、聞いている人もイメージを共有できるはず。これがストーリーです。伝える力も伝わる情報量もワンフレーズで語るよりはるかに大きくなります」 また、誰かが語ったストーリーを聞いていた人が語り直すこと(リストーリー)によって、ストーリーをより強く共有できるとともに、一人ひとりの感じ方の違いも認識することができる。④の関係の質を高めていくためにも効果的なやり方だ。   *   *   * 5つの項目はいずれも授業や学校生活を通して高校でも実践できるものだ。また、兼清氏は「先生自身が未来を描いたり、経験から学んだり、関係の質を高めてみせたりすることが大切」とも言う。 未来を創るために大切なのは「今を変える」ことなのだ。図2 未来をストーリーとして共有ストーリーテリングリストーリーリストーリーリストーリーリストーリーリストーリーストーリーストリ集団の誰かが伝えたいメッセージをストーリーとして語る(ストーリーテリング)。それを聞いていたメンバーが、「自分はそのストーリーから何を感じたか」を語り直す(リストーリー)。企業変革の場でも使われる手法だ③協働する④関係の質を高める⑤ストーリーを語り合う展望編3未来社会にどう向き合うか?212015 MAY Vol.407

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