キャリアガイダンス vol.407
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地元の魅力を知り、復興に向けて発信する体験型の授業であり、14年度から、双葉郡の小・中学校で始めた取り組みを発展させた授業だ。1年次前期は、劇作家・演出家の平田オリザ氏を講師に迎え、フィールドワークを通して地域の良さを知り、演劇として表現する。後期は、「ふたばの教育復興応援団」(図2)から講師を招き、スポーツ、祭り、アート、音楽、ドラマといったグループごとに地域の魅力を再発見し、イベントなどを企画して発表する。年間指導計画を作成した佐藤伸郎先生(P32写真右)は言う。 「各界の著名人が、教員と共に作りあげる『責任編集授業』と呼んでいます。スポーツであれば仮設住宅での運動不足の解消法を考えたり、アートであれば、伝統をベースにした新しい芸術作品を制作したり、音楽であれば地域の応援歌のようなものを考えて披露するといった計画が、各講師からあがっています」 講師は最低でも3回は来校し、狙いや評価を含め担当教員とともに授業を作り上げる。一過性のイベントではない「力」に結びつく授業だ。 このほか同校では、既存の5つの県立高校の特色を引き継ぐ形で、アカデミック、トップアスリート、スペシャリストという3つの系列を用意(図3)。総合学科として幅広い進路を見据え、資格取得、ICTの活用、環境・防災教育にも力をいれる。また、「みらいカフェ」「みらいラボ」という地域住民が集える場所を設置。スーパーグローバルハイスクール(平成27年度)にも指定され、海外研修などグローバル教育も充実させていく。 丹野校長は、20年後あるいは100年後の姿を想い描きながら学校を創ろうとしている。それが「未来創造型教育」(図1)という考え方だ。「これまでの学校教育を根本から変えていく新しい学校の在り方を模索しています」 そのための変革の理念は3つ。 1つめは自立。これまで学校も地域もシステムに依存し、主体的になれなかった部分がある。それを根本から変えたい。例えば、知識詰め込みから脱却した主体的な学びの実現であり、解のない課題への挑戦を後押しする授業だ。 「双葉地域はまさに解のない課題だらけです。教員も生徒も地域の人も同じ地平に立って、解のない課題に挑戦していきたいと思います」 2つめは協働。さまざまな主体が、その違いを乗り越えて共に学んでいく。そういう場の中心に学校がなることが必要だと考えている。 3つめは創造。学校や地域も、今までの常識や概念にとらわれず価値観を転換して再出発するしかない。他の地域ではしがらみがあって叶わないことでも、ここでなら思い切ってできる。それがいつか、他の地域に還元できればいいと考えている。 「福島県ではまだ県内外をあわせて約12万人の県民が故郷を離れて過ごしています。大きな困難を抱え、未解決の課題ばかりですが、実は、震災以前から、地域には少子高齢化や産業の疲弊などの課題が山積みでした。それが震災と原発事故によって先鋭化し、世界でも稀に見る『課題先進地域』になってしまいました。でも、だからこそ、できることや、やらねばならないことがあるはずです。辛い思いをしたからこそ芽生えた思いや意欲もあるわけで、それを生かしていくことも、この学校の使命だと考えています」 新校舎が完成する18年度までは、既存の中学校の校舎を使用する。同校の挑戦は始まったばかりだ。「未来創造型教育」における3つの変革の理念中学校総合学習(ふるさと創造学)双葉郡の中学校(双葉郡出身の中学生)1年次(地域に学ぶ)2年次(日本・世界に学ぶ)3年次(未来を考える)双葉郡以外の県内外中学校連携型選抜の募集区分(連携型・Ⅰ期共通)A型(学業)B型(スポーツ)C型(生徒会活動・目的意識)連携型選抜基礎的学びアカデミック系列(大学進学を目指す系列)トップアスリート系列(トップアスリートを目指す系列)バドミントン/サッカー/ゴルフ/野球/レスリングスペシャリスト系列(職業人を目指す系列)発展的学び応用的学び地域について広く学習する自分の課題を意識し、積極的に探求する。個人研究を行い成果を発信する。Ⅰ 期選抜主体的な学習(アクティブラーニング)(課題解決型授業)主体的な学習(アクティブラーニング)(課題解決型授業)高 校文系科目群理系科目群スポーツ科目群工業科目群福祉科目群農業科目群図3 ふたば未来学園の学び※福島県双葉郡教育復興ビジョン推進協議会の資料をベースに編集部で作成産業社会と人間ふるさと創造学総合的な学習の時間学校設定科目課題研究総合的な学習の時間課題研究先進の学びで 地域へ、日本へ、世界へ社会に貢献する人材の育成342015 MAY Vol.407

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