キャリアガイダンス vol.407
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「私は高校生こそ地域の力になれると信じています。脳みそをフルに回転させ、正解のない本物の学びをしてきた皆さんの発表を楽しみにしてきました」 今年3月5日、伊丹高校で行われた「伊丹育ちあい(共育)プロジェクト」成果発表会は岡田学校長(取材時)のこんな言葉で幕を開けた。 伊丹高校は5キロ四方という比較的小さな面積の兵庫県伊丹市にある唯一の市立高校。2003年に「情報A」の時間で「伊丹商店街活性化プロジェクト」をスタートさせ、今年で13年目になる。 発表会では、プロジェクトの全体説明に続き、1年生がチームごとに行った商店での企画実施の成果、1学年全体で取り組んだハロウィンイベントの取り組み報告、情報科目を選択する2、3年生と連携する大学生の発表などが行われた。 約3時間にわたる発表会では生徒が裏方も表方も担っていたが、驚いたのは実行してきた商店街活性化の活動だけでなく、司会や大人に交じってパネルディスカッションに登場する生徒の慣れた話しぶり。各発表やディスカッションのポイントをその場で模造紙にまとめていく力。 生徒たちはどうやってこのような力を身に着けてきたのか。1学年のカリキュラムを中心にプロジェクトの内容を見ていこう。 このプロジェクトでは高校生が商店街の活性化に取り組むが、企画をすることだけが目的ではない。高校生と街の人々がつながることを重視し、そのなかで社会の主体的な参画者を育てることが企図されている(図1)。 授業は1年生全員が履修する「社会と情報」で行われる(図2)。1年間のはじめには授業で使う電子メールや、日報やレポートをアップしたり、商店の人とやりとりをするために使う「いたまちSNS」、文章作成ソフトなどの使用方法を学ぶ。1学期にインタビューや記録の仕方を学んだうえで、店舗インタビュー。その後取り組みたいテーマに沿って1店舗を選び、2回目の店舗調査を夏休みに行い、その店の良いところを引き出す生徒と地域の「本気」の関わりが互いを育てあう伊丹育ちあいプロジェクトいま注目を集める、地域と高校の連携。この連載では、地域課題に取り組むことで、高校生はどう成長するのか、また、学校はどのように地域と連携できるのかを探っていきます。図2 1学年「社会と情報」の流れ図1 伊丹育ちあいプロジェクトの目標伊丹高校(兵庫・伊丹市立)第1回取材・文/江森真矢子年間を通して高校生が商店街とかかわる▼育つ生徒像▼事業ビジョンと目的●「伊丹がすきやねん」という生徒●「いっちょやったろか!」という志を持つ生徒●社会起業家●自尊感情を持って自分を伸ばす自立した生徒●議論できる生徒●高校生が地元商店街や地域の抱える問題を、店主とともに企画し叶えることにより、自分が社会に関わる意義を見いだす●個人の情報発信する力を要請する●地域社会との連携をすることにより、地域コミュニティを担う地域に根差した人材育成を行う●情報は人と人との信頼関係を基盤としたつながりの上でやりとりされることを体感し、人間関係を体得し、人格の育成を図る●現在抱えている問題に対して議論を行う風土の育成1学期2学期3学期夏休み情報の基礎習得いたまちSNS登録テーマ決定店舗調査①店舗調査②戦略企画ハロウィンイベント成功体験の振り返り報告書・発表準備成果発表会402015 MAY Vol.407

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