キャリアガイダンス vol.407
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勤労観を育み、早期離職を防ぐ就職指導事例高卒で就職した者の早期離職率(3年以内)はおよそ4割。苦労してつかんだ就職先を、彼らはなぜ、早々に辞めてしまうのでしょうか…。就職指導の現場で、先生方が見てきたのは、生徒たちの自己肯定感の低さや、「どうせ自分なんて」というあきらめの気持ち。社会人基礎力を育み、視野を広げ、少しでも前向きな気持ちで送り出したい…就職校2校の取り組みをご紹介します。取材・文/永井ミカ進路指導実践を磨く! 厚生労働省の調査によると、新規高校卒業者の39・6%が3年以内に離職している(2011年3月卒業者の場合)。 今回、事例で紹介する2校も、就職希望の生徒たちの進路について先生方が最も憂慮しているのは「早期離職」だ。場合によってはやっと決まった就職先を、誰にも相談せず数日で辞めてしまうケースもあるという。 理由として上がってきたのは、大きく2つ。1つは社会人基礎力の不足だ。特に「聞く」「伝える」などの基本的なコミュニケーションがおぼつかないために、職場内の現実のやりとりに対処できない。そしてもう1つは、職業観・就業観の未発達によって、具体的にどんな仕事をするのかさえわからずに進路決定を行ってしまうこと。自分の適性や希望まで踏み込んで考えた経験が少ないのだ。これらに加えて昨今のブラック企業問題も、無視できなくなっている。 小社「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査2014」では、「適性検査」「就業体験(インターンシップ)」「職場見学」などの実施率が少しずつ伸びていることがわかっている(図1)。「労働者の権利に関する教育」については、社会保険労務士や弁護士などの協会とも連携し、出前授業を積極的に行っている地域もあり、年々実施率が増えている。特に進学率40%未満の就職校で26%と実施率が高い。 就職校や進路多様校では、就職試験に合格することがゴールではなく、長期的視点でミスマッチを防ぎたいという思いが強く、今後「勤労観・職業観を醸成する教育」に注力したいという割合は進学率40%未満で半数近くに上る(図2)。 なかなか夢をもてず、自己肯定感が低い就職校の生徒たちに、社会人基礎力を身につけさせ、自己効力感をもてるようにするにはどうすればよいか。就職指導に力を入れている2校が取り組む事例を、紹介したい。図1 現在、実施している進路指導の取り組み<抜粋>(全体/複数回答)図2 今後注力していきたい教育<抜粋> (全体/複数回答)就職内定がゴールではなく、就職後を見据えた指導が増加就職面接指導資格取得・検定奨励適性検査ハローワークとの連携就業体験(インターンシップ)職場見学労働者の権利に関する教育職業人インタビューアルバイト指導ジョブ・シャドウイング2014年全体(n=1140)74.468.364.859.655.550.916.616.110.2 4.62012年全体(n=1179)74.067.463.760.554.750.212.619.710.5 5.12010年全体(n=1208)78.666.962.760.354.049.310.515.110.8 2.72014年大短進学率別95%以上15.234.356.912.724.018.6 5.915.7 1.0 5.970~95%未満67.562.954.943.631.930.411.316.0 5.8 4.040~70%未満95.874.567.079.264.258.517.918.9 8.5 8.040%未満99.087.776.186.687.180.526.014.919.5 2.6勤労観・職業観を醸成する教育人生のリスクに対応する力をつける教育労働者の権利や義務について理解するための教育2014年全体 (n=1140)37.220.712.32014年大短進学率別95%以上 (n=204)23.020.110.370~95%未満 (n=326)31.624.511.740~70%未満 (n=212)39.219.311.340%未満 (n=389)48.318.814.410080604020(%)0605040302010(%)0■ 2010年 全体■ 2012年 全体■ 2014年 全体 95%以上 70~95%未満 40~70%未満 40%未満■ 2014年 全体 95%以上 70~95%未満 40~70%未満 40%未満※小社「高校の進路指導・キャリア教育に関する調査」より(調査時期:2014年10月 調査対象:全国の全日制高校の進路指導主事)※図1、図2ともに「2014年 全体」より5ポイント以上高い数値を■色で表示452015 MAY Vol.407

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