キャリアガイダンス vol.407
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 「卒業後を幸せに生きられるように」をキーワードにキャリア教育を実施している朝明高校。例年、6〜7割が就職するが、早期離職も少なくなかった。ある年、工場に就職した卒業生が早々に離職した。理由をたずねると、「工場で扱っている食品が目に染みてつらい」ということだった。「先輩社員に相談することができなかった。また、工場ではゴーグルを貸し出していたが、その連絡を聞き逃していた」ということが、後にわかった。 「このようなことがあるたびに、社会人に必要な『聴く力』と『伝える力』を早急に育成する必要があると考えていました」と言うのは、進路指導主事の井波利彰先生。そして、4年前に導入したのが「協同学習によるキャリア教育」。互いに異なる学習をして、それをグループ内で報告し、互いに教え学びあう「ジグソー法」をヒントに指導案を作った。 1年生の場合、ハローワークや企業、大学、短大、専門学校を学校に招いて、各教室において分科会形式で講演してもらう。生徒は自分に割りあてられた講演を聴き、ポイントをメモし、自分が所属するグループに持ち帰って5〜6人のメンバーに伝える。聴くほうもまたメモをとってまとめる。2年生、3年生でも、卒業生を講師に招くなどのアレンジを学年ごとに加えながら、この協同学習を実施する。 理想は年1回学習し成果を積み上げていくことだが、学年団によっては実施しないこともある。「うちの生徒にはとてもできない」と失敗への不安を感じる先生が多いからだ。福井彰子先生もそのひとりだったが、それでも詳細な指導案をもとにやってみたところ、「生徒たちの頑張りを実感しました。今では必要な学習だと思っています」と言う。 「1年生で実施して、メモがとれないことに愕然としました」と言う国語科の丸野浩一郎先生は、国語の授業でもメモをとらせ評価の対象にすることにした。「協同学習によるキャリア教育」は教師にも気づきをもたらし、教科指導にも影響を与え始めている。 昨年度の3年生は初めて3年間実施した学年。担任をもった中野綾子先生は「1年生のときは参加しない生徒もいましたが、3年生では全員参加し講師に質問をする生徒も。聞いた話を責任をもって仲間に伝えようとし、ワークシートも埋まっていた。成長を感じました」と言う。 「最初からうまくはいきませんが、失敗を反省することで力がつきます。生徒も先生も、そして卒業生にも協力してもらい、学校全体で力をつけていくことが、今、朝明高校には必要です」(井波先生)。職業や大学に関する講話を「協同学習」にアレンジ。社会人として必要な「聴く力」「伝える力」を育む1978年創立/普通科 生徒数759人(男子442人・女子317人) 進路状況(2014年度実績) 大学8%、短大5%、専各19%、就職66%、その他2%■ 協同学習のワークシート (1年生用)進路指導実践事例 ❷後列右から進路指導主事井波利彰先生学年主任丸野浩一郎先生前列右から中野綾子先生福井彰子先生朝あさけ明高校 (三重・県立)3年間のグループ学習による役割意識が生徒を成長させる※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.407)472015 MAY Vol.407

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