キャリアガイダンス vol.407
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 明日の世界を担う若者たちにはどのような備えが必要なのか、私たちはこれまで以上に真剣に考える必要があります。かつて教育とは、誰かに何かを教えることを意味していました。現在、教育の役割は、子どもたちが、先の見通しが利きにくく不確かで混沌とした大海へと船出し、そこで自分の進むべき路を切り開いていけるように、確かな羅針盤と航海術を自ら身につける力を育てることにあります。 今日の学校においては、大多数の人々が多様な文化的背景をもつ他者と協力し、違った考えや視点、価値観を尊重する必要のある社会に参画し得る力を育成しなくてはなりません。人々が違いを超えて信頼し合い、協力し合うにはどうすればよいのかを考え、判断することが求められる社会、また、国境を超えた問題が人々の生活に影響を及ぼす社会に参画するための準備が必要です。生徒が国も世界も多元的だという現実を知り、日常生活や仕事、そして市民生活の中で他者と共に生きることができるよう、自主性とアイデンティティを確立するための支援を提供することが求められています。 今日、私たちは、物事がどのように進展していくのか、明確に把握することはできません。全く予知し得ない途方もない事態に驚き、そこから学ぶ必要に迫られることもめずらしくありませんし、時には誤った判断をすることもあるでしょう。たとえ予期せぬ事態や過ちが発生したとしても、そういった状況を正しく理解できれば、それらを学びや成長の契機とすることができます。 一世代前までの教員は、自分が教えたことは生徒の一生の糧になると期待することが可能でした。しかし今日の学校には、かつてないほど急速な経済的・社会的変化や、将来新たに生起するであろう仕事に対応できる力を育成し、まだ開発されていない技術未来に向けて若者たちに必要な力とは日本の今後の教育改革の方向性を定めている一つの大きな要因といってよいOECDの数々の調査結果や提言。それらをまさに推進してきた教育局長シュライヒャー氏に、今回特別にキャリアガイダンスの読者に向けてご寄稿いただきました。これからの社会とそこで求められる力とは? そしてそれらを育む教育とはどのようなものなのでしょうか。日本語訳監修 : 筑波大学教授 藤田晃之不確かな大海へPhoto:OECD/Julien Daniel82015 MAY Vol.407

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