キャリアガイダンスVol.410
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います。 この概念に照らし合わせて先行事例などを見ていくと、「探究」と「活用Ⅰ」の部分は、結構行われていることがわかります。しかし、教科の中での「活用Ⅱ」にあたるものが、圧倒的に少ない。それを単元末の授業でいかに反映していくかが、桐蔭の先生たちとの挑戦の中での課題にもなっています。 このような新しい取り組みは、常に手探り状態です。 理論を落とし込んだ授業案や問題案などを作っても、それで本当に十分なのか…。しかも基本となる理論のフレームワーク自体も次々に改定されて、それまで考えていた授業案や問題案を変更しなくてはならなくなったり…。現場の先生からすれば、「コロコロ変わって、何を基準にすればいいのかわからない」という戸惑いの声にもなっているでしょう。 それだけ国や学者も揺れている時代、専門家たちでさえぶれる中で、新しい教育を進めていかなければいけない。そんな時代に、今、先生方は直面しています。当然、一人の先生の考えや努力で何とかなるような課題ばかりではありません。だからこそ、横のつながりが重要です。 例えば桐蔭学園の場合は、アクティブラーニング推進委員の集まりが、ラーニングコミュニティとして成長していることが大きな支えとなっています。研修や合宿をとおして、お互いに思っていることをすべて吐き出し、そうしてつながった深い連帯感が、その後の活動に非常に大きな影響を与えています。教科を超え、部署を超え、先生たちの間で「学び合う」文化ができつつあり、それが非常に大きな効果を生んでいると思います。実際、「これまで同じ教科の教員としか指導の話をしたことがなかったのが、他の教科の先生とも『どうすればいい?』と話ができるようになった」「コミュニケーションが増えた」「活気が出た」と、多くの声があがり、教科を超えて話し合っている先生たちの様子が、他の先生たちにもいい影響を与えています。 私は、そんな先生たちの成長と変化のすさまじさを、驚きのまなざしをもって見ています。まさに、教師も「つながる」ことが大事だと実感しました。それによって、一人では成し遂げられないことへの挑戦が可能になり、学び続ける、成長し続ける力となります。 だからこそ、これからの教員には、教員同士も「協働」し、常に学び、成長し続けることが大切校内はもちろん、いろいろな研修会やシンポジウムなどに出て、外の世界と現場を「つなぐ」力が必要になるでしょう。また、すべての先生が外に出て行くことは難しいので、現場での課題を一般化して、外部から専門家を呼んだり、次の研修を組むファシリテーターやオーガナイザーのような働きを果たすミドルリーダーの育成も必要になるでしょう。そんな教員の姿も、これからの新しい教員像といえるのではないでしょうか。習得・活用・探究の学習プロセス学力の三要素(1)基礎的な知識・技能総合型(脱教科)合教科・科目型安彦案1教科内学力の三要素(2)基礎的な知識・技能を活用して、自ら課題を発見し、その解決に向けて探究し、成果等を表現するために必要な思考力・判断力、表現力等の能力探究生徒主導教師主導学力の三要素(3)主体性をもって多様な人々と協働して学ぶ態度活用活用Ⅱ活用Ⅰ習得(※参考:安彦忠彦原稿、溝上編『高等学校におけるアクティブラーニングの理論』東信堂所収、2016年3月刊行予定)高校2年生をこれから10年間にわたって追跡調査する「学校と社会をつなぐ調査」の、第1回目の報告。さまざまな学校の事例とともに、現在の高校生の特徴やキャリア意識などを説き、教育のあり方への課題なども提示する。高校から大学、社会へのトランジションにおける現状と課題について、社会学や心理学、教育学、労働経済学など、異なる分野の研究者9人が、それぞれの視点から執筆した書。学術論的に、今、何が起こっているのかを鋭く説く。どんな高校生が大学、社会で成長するのか「学校と社会をつなぐ調査」からわかった伸びる高校生のタイプ高校・大学から仕事へのトランジション変容する能力・アイデンティティと教育溝上慎一 責任編集京都大学高等教育研究開発推進センター/河合塾 編 学事出版 溝上慎一・松下佳代編ナカニシヤ出版122015 DEC. Vol.410

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