キャリアガイダンスVol.410
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25日・300時間以上受けることになっていますが、網羅的な知識の伝授だけでは陳腐化しかねません。初任というステージにおいて有効な学びになり得ているのかという疑問がありました。だとすれば、1年間かけて、主体的に学び続ける資質だけを徹底的に磨きこむカリキュラムを組んだらどうなるだろうと考えたのです。具体的には、授業を振り返り、自ら考え、みんなで議論するなかで気づき、現場に戻って実践に生かす。これの繰り返しです。こうした省察的気づきを促すサイクルを初期段階で身につけることを通じて、若い研修参加者は変容していきました。宮下▼初任研に限らず、研修で重要なのは、各学校の実践に生かすこと。学校には特性があり、特有の課題があります。それに合った研修でなければ意味がありません。岸田▼答申素案のポイント(図1)にもありますが、今後、校内研修体制のいっそうの充実・強化が求められます。個人的には、集合型の研修は、講義を受けても翌日には忘れてしまったり、参加者で自己完結し、校内に浸透しなかったりすることも多く、限界があると感じています。宮下▼私も、校外での研修はスリム化・重点化し、多様化する教育課題に対応できるよう、研修の種類や内容のレパートリーを増やすことが必要だと考えています。岸田▼私が研修で重要だと感じているのは「組織」と「継続」。小・中学校ではよく大学教授に来てもらいサジェスチョンしてもらうことがありますが、1回きりでは、いい話を聞いたで終わりかねません。けれど、年間を通じて、同じ教授が繰り返し訪ねてくるような学校は、与えられた課題に組織として取り組み、本気モードになっていくものです。宮下▼行政から学校現場に戻ったとき、校長としてまず行ったのが「塾」という名の研修でした。初任者や中堅を一堂に集め、互いに教え、教えられるという活発な場としたかったのです。その際、退職間近のベテランに何か話をしてくれないかと打診したところ、「教育現場を去る人間として、これだけは若手に伝えたいことを遺言のように残しましょう」と快諾され、結果、心に響く話をしてくれました。桐蔭中学・高校に異動後も同様な取り組みを始めましたが、今は、岸田先生なりのやり方で続いていると聞いています。岸田▼宮下先生から引き継いだものを拡大し、「桐蔭FD会議」という名の勉強会を月に1〜2回行っています。昨年は初任研や十年研の対象者が中心でしたが、今年から全員参加にしました。独自の桐蔭スタンダードテストの結果を分析し授業改善に生かし〝教師〞を志す皆さんへたり、教科ごとに設定したテーマに基づいて年間を通じて研究授業を行ったりしています。初回の研究授業は英語と古文でしたが、その時の担当者のテーマは速読と多読。異なる教科なのに手法は似ていて、他教科から学ぶこともあるのだという気づきになりました。私は数学のことは疎いですが、授業の善し悪しはわかります。そんなことをみんなで話しました。宮下▼教科による特性はあるものの、教え方の根幹は共通するもの。「なる和歌山県教育委員会宮下和己教育長校内研修体制の充実と強化を対談 学校現場での教員育成を語るこれからの教師を探る332015 DEC. Vol.410

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