キャリアガイダンスVol.410
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――管理職から教員へのメッセージとして、岸田先生は「校長メール」を定期的に送信しているとか。岸田▼3年間で100号だそうと思っていて、今ちょうど50号です。校内で新しいことをしようとすると必ず教員の中に抵抗感が生じます。そのとき、「それでも自分はこう考えているんだ」という思いを真摯に語りかけていく。そうすることでしか、人は動かせないと思っています。宮下▼そういうことを厭わずやるのが岸田先生のすごいところ。彼の言うことは真理で、特に桐蔭のような伝統のある学校は強いリーダーシップだけでは動きません。そこに、校長の思いを伝え、教職員のベクトルを合わせる何らかのしかけやストーリーが必要になるのです。岸田▼桐蔭FD会議は、アクティブ・ラーニングやICT教育など新たな教育課題を放り込める箱としての役割も担っています。しかし、まだまだ機能しているとは言えません。これを定着させるのが私の残された仕事。個々の技量だけでやってきたところもある学校で、教員が一丸となって力を高めていこうとする研修の文化的土壌が少しでも生まれたらうれしいです。――県の教育行政のトップとして、これから取り組みたいことをお聞かせください。宮下▼冒頭でも触れましたが、ベテランが急速に減り、経験の浅い若手が増えていくことに危機感を抱いています。進路指導ひとつとっても就職や進背景主な課題具体的方策これからの時代の教員に求められる資質能力図1 「これからの学校教育を担う教員の資質能力の向上について」(答申素案のポイント)○学校を取り巻く環境変化(大量退職・大量採用→年齢、経験年数の不均衡による弊害)○教育課程・授業方法の改革(アクティブ・ラーニングの視点を重視した指導改善)○英語、道徳、ICT、特別支援教育等、新たな課題への対応○「チーム学校」への転換○教育基本法第9条の趣旨を踏まえた「学び続ける教員像」の具現化が必要○大学等と教育委員会の連携のための具体的な制度的枠組みが必要○幼稚園、小学校、中学校、高等学校及び特別支援学校等の特徴や違いを踏まえ、制度設計を進めていくことが重要○新たな教育課題(アクティブ・ラーニングの充実、ICTを用いた指導法、道徳、英語、特別支援教育)に対応した養成・研修が必要○ 学び続ける教員を支えるキャリアシステムの構築のための体制整備・教育委員会と大学等との協議・調整のための体制(教員育成協議会)の構築・教育委員会と大学等が協働で策定する教員育成指標・研修計画の全国的な整備・国が大綱的に教員育成指標の整備指針を提示、教職課程コアカリキュラムを関係者が共同で作成(グローバル化や新たな教育課題などを踏まえて作成)○ 到達目標に応じた養成と研修の見直し・充実●新たな課題(英語、道徳、ICT、特別支援教育)やアクティブ・ラーニングの視点を重視した指導改善等に対応した教員養成●学校インターンシップの導入(教職課程への位置付け)●教職課程に係る質保証・向上の仕組み(教職課程を統括する組織の設置、教職課程の評価の推進など)●「教科に関する科目」と「教職に関する科目」の統合など科目区分の大くくり化●円滑な入職のための取組(教師塾等の普及)●教員採用試験の共同作成に関する検討●特別免許状の活用等による多様な人材の確保●(独)教員研修センターの機能強化(研修ネットワークの構築、調査・分析・研究開発を担う全国的な拠点の整備)●教職大学院等における履修証明制度の活用等による教員の資質能力の高度化●研修機会の確保等に必要な教職員定数の拡充●研修リーダーの養成、指導教諭や指導主事の配置の充実【継続的な研修の推進】●校内研修体制の充実・強化●メンター方式の研修(チーム研修)の推進●教職大学院等との連携、教員育成協議会の活用●新たな課題(英語、道徳、ICT、特別支援教育)やアクティブ・ラーニングの視点を重視した指導改善等に対応した研修【初任研改革】●先駆的取組を参考とした改善方策の検討●2,3年目研修への接続(運用方針の見直し)【十年研改革】●研修実施時期の弾力化●目的・内容の明確化(ミドルリーダー育成)【管理職研修改革】●新たな教育課題等に対応したカリキュラムマネジメント力の強化●体系的・計画的な管理職の養成・研修システムの構築○研修機会の確保○チームとしての学校の力の向上○アクティブ・ラーニング型研修への転換○研修体制の充実○初任者研修・十年経験者研修の制度や運用の見直し○(独)教員研修センターの役割の在り方の検討○義務教育学校制度の創設や学校現場における多様な人材の確保○求める教員像の明確化、選考方法の工夫○採用選考試験への支援方策○学校内の年齢構成の不均衡の是正○「教員となる際に最低限必要な基礎的・基盤的な学修」という認識○学校現場や教職に関する実際を体験させる機会の充実○教職課程の質の保証・向上○教科・教職に関する科目の分断と細分化の必要性従来必要とされてきた不易の能力に加え、キャリアステージに応じた資質能力を高める自律性、情報を収集・選択・活用する能力や深く知識を構造化する力、学校を取り巻く新たな教育課題に対応できる力量など【全般的事項】【研修】【免許】【採用】【養成】養成段階「学び続ける教師」の基礎力を身につける時期1~3年目教職の基盤を固める時期中堅段階「チーム学校」の一員として専門性を高め、連携・協働を深める時期ベテラン段階ミドルリーダーとして、より広い視野で役割を果たす時期採用段階養成内容の改革採用段階の改革現職研修の改革【現職研修を支える基盤】ほど、この教科でこうしたやり方ができるのであれば、自分はこうしてみよう」という発想をもつことが大事だと思います。岸田▼先ほどの宮下先生の話で思い出しましたが、その英語と古文の教員はともに50代。ベテランが率先して行う研究授業は若手に刺激を与えました。反対に、若手の育成が中心になるとベテランは傍観者になりがちで学校全体としての動きになりません。活力のある学校は一様にベテランが牽引役になっているもの。ベテランが教育課題をもち、若手を巻き込みながら切磋琢磨していく。それが、私が描く理想のFDです。退職後の優れた教員に後輩の指導を仰ぐ※中教審初等中等教育分科会資料(2015年10月19日)を再構成342015 DEC. Vol.410

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