キャリアガイダンスVol.417 別冊
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5Vol.417 別冊付録社会学部と教育学部が新たに開設される 大谷大学は、2018年4月から文学部、社会学部、教育学部の3学部となる予定だ(図1)(設置構想中)。現在は文学部のもとに、真宗学科、仏教学科、哲学科、社会学科、歴史学科、文学科、国際文化学科、人文情報学科、教育・心理学科の9学科を擁するが、このうち、2学科が学部へと発展することになる。 この改革にあたり、同大学が掲げるスローガンが「Be Real」。その意味するところは何なのだろうか。木越 康学長は次のように解説する。 「『Be Real』は、ネイティブの英語教員が授業中、学生に『ちゃんとしなさい』という意味で使う言葉です。今回、私たちが伝えたいこともまさにそれなんですね。『ちゃんとしようよ!』ということです」 木越学長は、このシンプルな言葉に、この時代だからこそ重要なメッセージが込められているという。 「『Real』には二つの意味があります。一つは、向かっていくべき現実です。しかし、現実に向き合うことは大切ですが、目先のことにとらわれて突き進んでしまったとき、人と人との間には必ず衝突が起こります。そこで、重要になるのがもう一つの『Real』。それは、私たちが帰るべき真実、真理です。ただし、孤立したなかで、自分だけの真理を追い求めることも、また違います。一方で、人との関係のなかで自分や社会の本来あるべき姿を追求し、一方で、現実の世界に生きる。『Real』の二つの意味を同時に成立させることが、今の人や社会には求められているのです」(木越学長) このように整理すると、哲学や歴史学などの人文科学が担う役割の重要性が改めて理解できる。例えば、環境問題にせよ、地域再生にせよ、現代社会で私たちが抱える課題の多くは、テクニックや合理主義だけでは解決できない。人文科学の視点から「本来あるべき姿」を考え、議論することが不可欠なのである。人間の幸せや未来を考える役割を担う人文科学 「経済界、産業界の方々はよくGDPを問題にします。では、単にGDPを増やせばその先に人の幸せはあるのでしょうか。経済の専門家は3年後、5年後の経済を見通すことは得意でも、10年後、20年後の人間の未来を見極めることは苦手だそうです。人の幸せや未来像を描くには、人文科学の視点が必要です。これからは産学協働の場面でも、今まで腰が引けていた人文科学系がもっと前に出て、未来創造に関わっていくべきだと考えます」(木越学長) さて、ここで新設される2学部の教育について紹介しておこう。 社会学部はコミュニティデザイン学科と現代社会学科の2学科を設置(いずれも仮称)。前者は、実際に商店街や過疎地域に入り、地元の人々と関わりなが大谷大学取材・文/伊藤 敬太郎 撮影/髙田崇平伝統ある京都の地で、長年にわたり文学部の単科大学として人間教育に取り組んできた大谷大学が、2018年4月、文学部、社会学部、教育学部の3学部体制に移行する。同大学がこの新体制の下で志向する教育について、「人間学」の観点から掘り下げてみよう。3学部体制発足と同時にグランドオープンする新教室棟「慶聞館」木越 康 学長

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