キャリアガイダンスVol.417 別冊
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7Vol.417 別冊付録すことで起きている現在の環境問題では、市民の側のあり方が問われている。自分たちがどのように生きるべきか、どのような社会を目指すべきか、人間と環境とのあるべき関係とはどのようなものかといった視点が求められているのだ。まさに「人間学」的テーマといえる。 祇園祭ごみゼロ大作戦はNPO、行政、企業の連携による取り組みだ。学生がスタッフとして当日参加するだけなら、大人の指示に従って、言われたとおりに活動して終わることもあるかもしれない。もちろん、それも決して意味のないことではないが、事前教育によって、「何のためにやるのか」をそれぞれが意識し、考えることで、活動によって得られる成果は大きく変わってくる。 「大作戦当日までの授業では、ごみゼロ大作戦の他、環境問題に取り組むNPOや行政、企業の方々にゲストスピーカーとして話してもらう機会を多数設けています。それぞれがどういう意識をもって、どのような役割を果たしているか、当事者の話から知ることが重要なんです。その他、祇園祭の歴史も説明します。それによって、学生たちは、活動の意味を理解し、『働きかける側』としてこのプロジェクトに参加することを自覚していきます」(赤澤准教授)「してもらう側」から「働きかける側」へ 多くの学生は、高校生までは「してもらう側」としての経験しかない場合が多い。しかし、この授業を通して、自分たちの働きかけによって、人や社会に影響を与えうることを少しずつ感じ取っていく。この意識の転換が、学生の主体性を育む原点となる。 「祇園祭の現場で、現実の社会と交わる経験も学生にとっては大きいですね。『ありがとう』と感謝されることもあれば、事前に説明していても、『何でウチの店の前でゴミを集めるんだ』とクレームを受けることもあります。ただ、それも社会ですから(笑)。その場で相談してどうしようか考えなければいけないこともたくさん起きます。パッケージ化されたボランティア活動ではないからこそ、多様な経験から多様な気づきが得られるんです」(赤澤准教授) 社会人スタッフや地域の人との交流は、普段はキャンパスで同世代が固まって生活している学生が、地域の一員、社会の一員としての自分を認識する機会にもなると赤澤准教授。現場でリーダーシップを発揮するようになる学生も それが自分の役割やするべきことを自覚させることになる。この授業を通して、現場で見違えるようなリーダーシップを発揮するようになったり、ほかのボランティア活動に自ら参加するようになったりする学生も少なくない。 「何のためにやるのか」という意識と、現実の行動で得られる手応えが結びついたとき、本当の意味での主体性と課題解決力が養われるのだろう。このような問題意識に目覚めることは、「そのために必要なことを知りたい」という学びへのモチベーションにもつながっていく。 まさに「Be Real」という言葉が志向する教育がここにある。それは答えを与える教育ではない。「答えを探し続ける人を育てる」教育なのだ。赤澤清孝 准教授●祇園祭ごみゼロ大作戦祇園祭の山場である宵山行事期間中に夜店・屋台で大量に生じる廃棄物を減らすための市民活動。NPO、企業、地域団体、京都市などが協働して主催し、リユース食器への切り替え、ごみの分別収集、散乱ごみの清掃などに取り組んでいる。大谷大生は、運営の中核を担うコアスタッフ、一般ボランティアスタッフとして参加。学生が主体的に取り組む地域連携活動の拠点コミュ・ラボとは?教員・学生にとっての地域活動の拠点、地域に向けた大学の窓口としての役割を担う教育・研究機構。コミュ・ラボ発でさまざまな地域連携企画が立ち上がっており、多数の学生が参加している。

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