キャリアガイダンスVol.418
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 家政学部・児童学部・教育学部を有する鎌倉女子大学は、各専門分野の中で免許や資格を取得し、それを活かして就職する卒業生を多数輩出している。教員採用試験や管理栄養士国家試験で高い合格率を誇り、専門性の高い教育を実証している一方、コミュニケーション力や文章作成力など総合力の強化にも力を入れている学びの特色がある。 入試では1997年からAOを取り入れてきたが、高大接続改革を見据え、昨年から「AO入試(高大接続重視型)」をスタートさせた。左ページの図版からもわかるように、紛れもなく「学力の三要素」を明確に測るための入試で、評価内容や配点まで公開していることが特徴だ。こうした入試を導入した背景について、入試・広報センター長の河村和宏氏に伺った。 「高大接続改革を受けて、大手の大学でも『主体性』や『多様性』をどう評価していくかの検討が始まっています。こ試験の評価内容や配点を明確に提示し、それぞれの項目で測る力の内容も公開の改革の先は、大学が淘汰されていく時代になると直感しています。首都圏郊外の女子大として本学は、独自の枠組みで、専門知識や技能の習得に意欲をもつ学生を集め、現代の社会に求められる人材として育成していくことがさらに必要になると考えました。 新しい入試を完成させるには4〜5年はかかると覚悟していますが、手探りでも早い時期から『学力の三要素』を取り入れた入試を実施していかないと、2020年までに本学に合った方法を見出せません」 これまでも同学は思考力や表現力を測るプレゼン型のAO入試を行ってきた。それをモデルチェンジすることで、主体性・多様性・協働性も判定できる入試をつくる下地はあった。そして、学力要素の評価方法を数値化して、入試要項とともに公開することとした。それが図4だ。審査の5つの項目で、エントリーシートの内容も加味しながら、学力要素の何をどう測り、配点しているかを公開している。 「ここまで公開したのは、フィギュアスケートなどの採点のように、『ここでこれぐらいやれば何点取れる』ことを、受験生自身が把握できることを目的としています。つまり、本学を専願で目指そうという生徒は対策ができるということ。裏を返せば『しっかりと受験勉強しないと受からない』という受験生へのメッセージです。AO入試はともすれば大学側の青田買いや一芸入試のように捉えられ、簡単に合格できると思われがちですが、この入試では『本学で何をどう学ぶか』という明確な意志を示す必要があります。また、評価方法を見れば、本学が求める人物を明らかにできると考えました」(河村氏) 「AO入試(高大接続重視型)」の流れは図2の通りだ。エントリー書類の審査を通過した受験生は、約2週間後に行われる2日間にわたる審査を受けることになる。審査の初日はプレゼンテーションと集団討論。プレゼンテーションは書類審査の結果とともに通知される課題に従って、パワーポイントでプレゼンシートを作成して当日に臨む。入試 · 広報センター長河村和宏氏集団討論のテーマは当日控え室で渡し、考えをまとめる時間を与える。 「プレゼンテーションも集団討論も、志望学科ごとに関連するテーマを出しました(図3)。しかし、昨年実施してみて集団討論は受験生ごとに大きな差がつかなかったため、今年から志望学科をシャッフルして、建学の精神をベースにしたテーマで行うよう改善する予定です。学科を横断して意見を交わすことで、多様ななかで協働的に動ける独自の枠組みをつくり、自学に合った人材を集める実践した反省を踏まえて、方法や評価を改善していく鎌倉女子大学の入学者選抜改革のステップ図1●先の見えない時代に、今後大学が淘汰されていく予測。●専門性の高い教育を行う歴史ある女子大として、独自の枠組みで学生を確保していく必要性。早い時期からAO入試を導入しており、プレゼン型AO入試のノウハウがあった。それを下地としてモデルチェンジで「学力の三要素」を判定できる入試がつくれる環境にあった。学長を入試委員長とする入試委員会を中心に、教員、事務職員が一体となって高大接続重視型のAO入試を開発。2017年度の入試から導入。背景課題環境実施取材・文/長島佳子1943年設立/家政学部・児童学部・教育学部/学生数2,443名学校データ122017 JUL. Vol.418

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