キャリアガイダンスVol.418
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 2025年に創立50周年を迎える北陸大学は、時代の変化にともない、社会のニーズに合った教育を行うための大学改革を行っている。その始動として、この4月から学部を大幅に改編。新設された経済経営学部と国際コミュケーション学部の受験生を対象に、昨年から新しいAO入試をスタートさせた。プロジェクト・アドベンチャー(以下PA)などを導入した独特な「21世紀型スキル育成AO入試」だ。九州の大学から招聘された山本啓一教授は、学修評価などの研究と実践を行ってきており、教育プログラム改革に加え、今回の新しい入試制度を提案した。 「文科省が定義した『学力の三要素』はいわば現代社会のニーズです。それならニーズに合わせた入試をすぐに始めければなりません。例えば、経済経営学部はマネジメントを学ぶ学部です。マネジメントには主体性・多様性・協働性が求められますから、それを入試で評価し、さらに伸ばす仕組みが必要となります。これらの能力は筆記だけでは測れず、行動の測定が必要です。私は前任校の授業でコンピテンシー(行動特性)を評価する学修評価を積み重ねてきたので、即座に入試に応用できると思いました」(山本教授) 山本教授を中心につくられた「21世紀型スキル育成AO入試」の概要が図2だ。経済経営学部では「コンピテンシー評価型」としてPAを用いて主体性と協働力を、国際コミュケーション学部では「グローバルスキル評価型」として、アクティブラーニング型のグループワークを用いて思考力・判断力・表現力を、それぞれ多面的に評価していく。ここでは、主に経済経営学部の入試を中心に紹介する。 昨年の「コンピテンシー評価型」入試では、屋外でPAを実施(左ページ写真)。受験生たちはグループに分かれて巨大なシーソーを地面につけないようにバランスをとったり、丸太の上に並んで順番を入れ替わるなど、設定された課題に対する活動を行った。お互い初対面の受験生たちが、どのように声をかけあったり、行動しているかを、評価者の教職員たちが観察する。課題活動の後に、グループごとのふりかえりと、個人によるふりかえりを行い、自己評価シートに記入。その後、ひとりずつ面談をして終了となる。 特徴的なのは、予め受験生に試験のポイントを示すことだ。試験のポイントとは、①「メンバーがお互いにコミュニケーションを取りながら、協力して課題を達成する」ことに全力を尽くすこと、②発揮してほしいスキルと評価基準(図3)を明示、③②の評価基準で高得点を取ることよりも、自己の強みや弱みを認識し、今後の成長のための目標を設定できるようになることが重要であること、の3点だ。 「この試験のポイントは、受験生たちの『自己評価力』です。そのため、採点の基準は、生徒の自己評価が約6割で、観察評価は約2割、残りの2割が面談です。そもそも1日の行動観察では公正な評価はできません。だから、PAの際、『観察者の目は意識しないように』と伝えています。しかし、直接評価と間接評価はかなり相関する結果となりました」(山本教授) 「自己評価力」は入試だけでなく、入学後のカリキュラムでも重視されている。自分のことを知ろうとする力は、社会が求める力を入試で測るコンピテンシー評価型試験受験生自身の自己評価力が採点の大きな比率を占めるさらなる入試改革に向けて教職員の意識改革も推進北陸大学の入学者選抜改革のステップ図1●学部再編により2017年度から新たに「経済経営学部」と「国際コミュケーション学部」を新設。●AO入試がスポーツAO以外は実質的に進んでいなかった。初年次教育や学修評価を研究・実践してきた山本教授が2016年度に着任。前任校時代からの蓄積と経験をもとに、リテラシーとコンピテンシーを育成し評価する教育カリキュラムや入試づくりのノウハウを導入。2017年度の入試から、経済経営学部と国際コミュケーション学部で「21世紀型スキル育成AO入試」をスタート。背景課題環境実施入試にプロジェクト・アドベンチャーや、グループワークを導入し「21世紀型スキル」を評価経済経営学部 学部長山本啓一教授取材・文/長島佳子1975年設立/薬学部・医療保健学部・経済経営学部・国際コミュケーション学部/学生数1,941名学校データ142017 JUL. Vol.418

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