キャリアガイダンスVol.418
16/66

 藤田保健衛生大学は、医学部と医療科学部の2学部7学科2専攻によって構成された医療系総合大学だ。「独創一理」という建学の理念には、「一人ひとりの創造力が、新しい時代を切り拓く力となり得る」という想いが示され、先駆的な医療人養成を追求してきた。その象徴の一つが、学部・学科の枠を越えたチーム制での連帯活動を早くから教育カリキュラムに組み込んだ「アセンブリ(全員集合)教育」だ。「アセンブリ教育」は、現代のチーム医療に欠かせない能力を段階的に身に付けるプログラムとなっている(図3)。ここで重要とされるのは、相互に信頼関係を築くためのコミュニケーション能力だ。こうしたアセンブリの理念を、現代の課題に合わせて入試に組み込んで考案されたのが、2016年度からスタートした「アセンブリ入試」だ(図1)。2014年に、星長清隆学長が就任以来、大学改革に着手。組織改革や入試改革が急速に進んだ結果として、医療科学部で生み出された入試だ。 「これまで本学医療科学部の入試にAOはなく、人物を見るのは推薦入試だけでした。しかし、推薦入試は一人5分程度の個人面接だけで、短い時間での面接では、受験生も対策をたてて練習してきますので、個性が見えません。また、学校からの調査書でも本学が求める人物像まで推し量ることは難しいです。そこで、コミュニケーション能力や、グローバル社会で活躍できる語学力に優れた医療人の卵を選抜する目的で『アセンブリ入試』を導入・実施することになったのです」(濵子二治副学部長) 「アセンブリ入試」の特徴は、第2次試験で行われるグループディスカッションにある。入学後に受講する「アセンブリ教育」や、その先のチーム医療を視野に入れ、異なる学科を志望する受験生同士が一つのグループになって討論するのだ。 「アセンブリ入試」は医療科学部のすべての6学科2専攻を対象としている(図2)。まず出願の際に高校時代の課外活動などについてまとめた「アクティブレポート」を提出、第1次試験では、国際適性を測る英語の試験と、科学適性を測る理科系の筆記試験で評価する。国際適性については、TOEIC®TESTやTOEFL、英検などで一定の得点や条件を満たしていることが証明できれば、試験は免除される。 第1次試験の通過者には、結果通知時に、約2週間後に行われる第2次試験のグループディスカッションのテーマが提示される。テーマは年度によって異なるが、主に、医療を学ぶ意志のある学生としての考えを問う内容だ。 グループディスカッションをどのように行うかの設定は、時間を費やして検討した。入試担当教員の間でシミュレーションとトライアルを何度も繰り返して、不公平なディスカッションにならないように、また、受験生の個性が見える議論になるように、あらゆる設定を想定。企業採用などのグループディスカッションでは、進行自体を受験者に任せるケースもあるが、受験生が平等に発言できるよう、司会は教員が担当。評価は各学科から2名ずつの教員がディスカッションを観察して採点するが、教員たちが観察する位置も、近すぎず遠すぎず、議論が活発になる距離を試しながら決めていったそうだ。 「導入にあたっての議論も含め、担当教員の負担は大変なものであったと感じましたが、学部の将来を担う若いスタッフを中心に、皆熱心に取り組んで志望学科横断のグループで協調性などを測る討論試験評価基準は公表せずに生徒の個性が現れるよう配慮藤田保健衛生大学の入学者選抜改革のステップ図1●医療系総合大学として、50年にわたって「アセンブリ教育」を行ってきた。●AO入試がなかったため、「アセンブリ教育」に適した人物像を測る入試導入の必要性があった。●2014年に現学長が就任。「私立大学ならではの新しいことをやる」という指示のもと、大学改革が始まる。●医療科学部の若手教員を中心に、時間を惜しまずに入学者選抜を行おうという議論が進んだ。2016年度の入試から、医療科学部の6学科2専攻で「アセンブリ入試」をスタート。背景課題環境実施チーム医療に不可欠なコミュニケーション能力と個性をグループディスカッションで評価医療科学部 副学部長濵子二治教授取材・文/長島佳子1964年設立/医学部、医療科学部(臨床検査学科、看護学科、放射線学科、リハビリテーション学科、臨床工学科、医療経営情報学科)/学生数2,730名学校データ162017 JUL. Vol.418

元のページ  ../index.html#16

このブックを見る