キャリアガイダンスVol.418
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 早稲田大学は来年度の入学者から導入する新入試制度「新思考入試(地域連携型)」をこの4月に発表した。地域課題に対する活動内容をまとめたレポートと、総合試験、センター試験の3段階による試験で、文化構想学部、文学部、商学部、人間科学部、スポーツ科学部の5つの学部の志願者を対象としている。 大学の規模が大きく、学部自治が強い同学では、今までの入試は一般、推薦、AOとも、13の学部で個々に設計されてきた。学部横断で行う入試は異例の取り組みだ。 「学外から見た『早稲田』とは大学全体を指すものであり、大学全体で早稲田としての価値を裏付けていくために必要な取り組みだと考えました」(沖清豪教授) 早稲田は2032年に迎える創立150周年に向け、「WASEDA Vision150」という大学改革を推進中だ。「新思考入試(地域連携型)」は入試改革の第一弾と位置づけられている。入試改革の口切りに、「地域連携」を掲げた背景について伺った。 「建学以来の本学は、全国から学生が集まり切磋琢磨する場でした。それが、現在では7割が首都圏出身の学生で、地方出身者比率が落ち込んでいます。学生の多様性が欠如することは、大学のアイデンティティにも関わります。裏を返せば、地域の国公立大学に進学する学生が増えていると考えられます。将来、地域に貢献するために地元に残って学びたい生徒たちです。ただ、地域貢献はその地域にいなければ学べないのではなく、一度外から地元を見たり、他の地域との比較など広い視点から学ぶことも必要です。こうした地域貢献への意欲が高い生徒たちを早稲田に呼び込み、その力をさらに伸ばして地域に還元したいと考えたのです(図2)」(沖教授) もうひとつ、同学が抱えていた課題が、有数の難関校であるがゆえに、一般入試生の中で入学後に燃え尽きてしまう層の存在だ。彼らの目標は「入学後に何を学びたいか」ではなく、早稲田に入学すること自体になってしまっているのだ。 この2つの課題を入試で解決するために、大学で学びたいことを明確にもち、国公立大学を目指している地方の学生を取り込む入試について検討した。早稲田の一般入試は基本3教科で、いずれも難易度はかなり高い。センター試験のために幅広い教科で入試対策をしている生徒に早稲田に目を向けさせるために、学力+αの正課外活動も評価する入試方法として開発されたのが「新思考入試(地域連携型)」なのだ。 「新思考入試(地域連携型)」の流れは図3の通りだ。特徴は、1次と2次で志望する学部で地域課題に対して何を学びたいか、そのために高校までで何をしてきたか、学びの意欲について徹底的に問うことと、3次のセンター試験で学力も担保することだ。いわば「学力型のAO」だ。地方の優秀な生徒を早稲田で育成し地域に還元学びの目的意識と大学での学びが接続できているか早稲田大学の入学者選抜改革のステップ図1●現行の2月に1回の試験で生徒を判定することへの疑問。●戦前は全国から優秀な人材が集まっていた伝統が、現在は地方出身者が3割まで減少。●早稲田に合格することが目標で、主体的な学び意識がなく、入学後に燃え尽き症候群に陥る学生が一定数存在する。●2032年の創立150周年に向け2012年に策定した「WASEDA Vision 150」の核心戦略の一つが「入試戦略」。●入学センターの組織を改編し「入試開発オフィス」と「入学者選抜オフィス」を設置。2018年度の入試から、思考力・主体性のある優秀な、全国の生徒の獲得を狙った「新思考入試(地域連携型)」をスタート。背景課題環境実施地域への問題意識と学びの意欲をレポート・論文で測り、センター試験で基礎学力も重視する入学センター入試開発オフィス長沖 清豪教授教務部入学センター課長渡邉慎一郎氏取材・文/長島佳子1882年創立/政治経済学部・法学部・文化構想学部・文学部・教育学部・商学部・基幹理工学部・創造理工学部・先進理工学部・社会科学部・人間科学部・スポーツ科学部・国際教養学部/学生数4万2861名学校データ182017 JUL. Vol.418

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