キャリアガイダンスVol.418
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 こんなテスト問題を、みなさんは生徒に出題するだろうか? みなさんの生徒は難なく解答するだろうか? 今、首都圏を中心とした私立中学入試には、このように「正解」が1つではない問題を出す、新タイプの入試が増えている。その具体例として、2つの私立中学の入試を紹介しよう。 東京都にある私立聖学院中学校は、従来の4科(国語・算数・理科・社会)・2科(国語・算数)入試に加え、2種類の思考力入試を実施している。私立中学入試はここまで進んでいる! その1つは、ブロックを使って考えたことを表現する「思考力ものづくり入試」だ。過去の出題では、まず、自分の得意なことと、タイに関する資料から見える問題点の解決策について、それぞれブロックで表現。ブロックで表現したものをもとにして、150字程度の文章に表すことが課せられた。 ここで用いるレゴⓇシリアスプレイⓇは、学びや研修、ビジネスの場で活用されているツールだ。内面にある価値観やビジョンなどを可視化させるのに効果的とされている。その推進団体でトレーニングを積んで公認ファシリテーターの資格を取り、技術科の授業にも取り入れている内田真哉先生が、この入試を担当する。 「受験者の解答には、大人にはない発想も。その理屈は納得できるもので、なるほどそういう方法もあるかと気付かされます」(内田先生) 「思考力ものづくり入試」は思考力のなかでも創造的思考を要するが、同校が実施するもう1つの「思考力+計算力入試」は、批判的思考を重視した選考だ。こちらの思考力テストの今年度のテーマは、ミャンマーのある民族の生活。複数の写真や資料から情報を引き出し、自分のもつ知識を合わせて「新たな問い」(疑問)として再構成したうえで、自分の考えを200字程度の文章にまとめるという内容だった。 2つの思考力入試の評価方法の検討は、「聖学院の教育は何を大事にしているか」を話し合うことからスタートする。評価の軸とした「INPUT」「THINKING」「OUTPUT」にひもづく「情報の読み取り」「発想・創造力」などの評価項目を設定し、各項目のグレードの基準を明文化(図1)。そこから入試問題に合わせてルーブリック表を作成し、入試当日の採点はそれを用いて、1人の受験生に対して5人の教員で行う(全体で15人)。 同校が思考力入試を創設したのは5年前。従来の教科の知識を正確に積み上げて得点する子だけでなく、これから伸びるポテンシャルのある子を発掘するのが狙いだ。立ち上げ時から思考力入試を担当する本橋真紀子先生は、根底には同校が長年大切にしてきた教育理念があるという。 「2つの思考力入試では協働的思考を求めており、どちらも社会課題に対して自分は何ができるかを考えさせる出題内容になっています。なぜなら本校には、自分らしさとともに他者を尊重する『Only One for Others』の理念があるからです。自分だけ高めるのでなく他者への理解と尊重ができる生徒は、本校で大きブロックを使って創造的に考えて表現したり、より良い社会のために未来のサービスを考えたり…今、私立中学校ではさまざまなユニークな入試が行われています。このような入試が行われる背景と理由についてご紹介します。取材・文/藤崎雅子思考力、表現力を測定ブロックも取り入れ多様な視点で生徒を見るようにテストの点数だけでなく【問】 もし、あなたが、ザビエルだとしたら、布教のために何をしますか。具体的な根拠と共に400字以内で説明しなさい。202017 JUL. Vol.418

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