キャリアガイダンスVol.418
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に向けて自ら一歩を踏み出せる。そんな生徒を発掘して育んでいくために、新たな思考力入試を行いたいと考えています」(児浦先生)学院長石川一郎先生 2例目に紹介するのは、大阪府にある私立香里ヌヴェール学院中学校だ。今年度初めて「思考力入試」を実施した。入試問題の話の前に、その導入の背景にある学校改革をふまえておきたい。 昨年度まで大阪聖母女学院という女子校だった同校は、今春、「21世紀型教育」の推進を掲げ、校名も新たに、共学校として生まれ変わった。昨年から学院長に就き学校改革を推進しているのは、前任校の私立かえつ有明中学・高校における実践などにより、21世紀型教育の牽引者として知られる石川一郎先生だ。 「本学院は、生徒一人ひとりが神から与えられた自分の可能性を引き出し、それを最大限に社会で活かせる人を育てようと創設された学校です。根本は、知識の詰め込みではなく社会で生きるための力を大切にする、21世紀型教育の精神に通じています。21世紀型教育を掲げた今回の学校改革は、決して方向転換ではなく、香里ヌヴェール学院中学校香里ヌヴェール学院中学校の「思考力入試」問題【問1】現在、私たちは「ジュース」「切符」など様々なものを自動販売機で買うことができます。その他に、どのようなものを買うことができますか。3つ以上あげましょう。【問2】問1であげたものが売られている自動販売機は、どのような場所にありますか。また、だれが、いつ利用しますか。具体的な場面を想像して書きましょう。少なくとも1つは答えること。なお、「ジュース」「切符」を選んでもかまいません。【問3】問1、問2であげたもの以外に、もし、あなたが何かを自動販売機で売るとすれば、何を売りますか。それは、なぜですか。少なくとも1つは答えること。【問4】より良い社会のために、あなたがこれから新しい自動販売機をつくるなら、どのような自動販売機をつくりますか。また、なぜそう考えましたか。理由も含めて200字以内で書きましょう。なお、問3で考えたものでもかまいません。【ウォーミングアップ】未来の自動販売機」から連想する言葉を、できるだけ多くふきだしの中に書きましょう。香里ヌヴェール学院が目指す21世紀型教育図2未来の自動販売機を創造せよ石川学院長の著書『2020年の大学入試問題』(講談社現代新書)と『2020年からの教師問題』(ベスト新書)未来の自動販売機学院創設の原点を大切にしていこうという動きなのです」(石川学院長) 具体的には、問題解決力の育成、英語力の養成、ICT活用による学習支援の3本柱に力を入れる。なかでも中核となる問題解決力の育成のためには、さまざまな教科でPBL(Project-Based Learning)の手法を取り入れ授業改善を図っていく。 「人は生きていくうえでさまざまな課題に直面します。日本語の『課題』にはプロブレムとプロジェクトの2つの意味が含まれますが、生徒に取り組ませたいのはプロジェクトのほうです。例えば、『AI(人工知能)の登場によって仕事を失わないためにどうするか』ではなく、『AIに仕事を任せることで人はどんな新しい生き方ができるか』を考えるのがプロジェクトです。そんな創造的な課題に取り組む力を育みたいと考えています」(石川学院長) 同校が今春から始めた「思考力入試」は、まさに「プロジェクト」への取り組みといえる。今年度の出題テーマは「未来の自動販売機」。まず、ウォーミングアップとして「未来の自動販売機」から連想する言葉をできるだけ多く書き出させる。そのうえで、問1では現在の自動販売機に関想像力21世紀型教育20世紀型教育「知識集約型」協調性異文化理解問題解決能力イノベーションコミュニケーション社会貢献プロジェクトベースの教育思考力入試開始の背景に組み合わせて最適解を導くもっている知識やスキルを222017 JUL. Vol.418

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