キャリアガイダンスVol.418
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首都圏模試センターの「思考コード」で見る入試問題新タイプ入試実施校数の推移(首都圏)図4図3する知識を引き出し、問2でその知識を整理。問3で自分なら何を売るかを考えさせ、最後の問4でより良い社会のための未来の自動販売機を創造させる。ポイントは、出題者が最も聞きたい問4に向けて、あえて知識を引き出すという思考のプロセスをたどっている点だ。 実際に受験生が書いた自動販売機のアイデアには、個性的な解答がいくつもある。「おむつを売る自動販売機」や「お年寄りのために背の低い自動販売機」などは、年下のきょうだいや祖父母との生活経験から出たと思われ、子どもならではの目線が生きている。また、「AIに相談しながら買う物を選べる自動販売機」といった現代社会をとらえたアイデアもあり、教員を驚かせたという。 「自分の人生をどう生きるかには正解はありません。学校ではもちろん正解のある学びも必要ですが、正解のないことに対して、もっている知識やスキルを組み合わせて最適解を出せる力の育成はとても大切です。それにつながる入試であり、学校であることを目指しています」(石川学院長) 紹介した2校の他にも、4科・2⇐問題難度変換操作全体関係変容3A3B3C3複雑操作カテゴライズ複雑2A2B2C2手順操作単純関係単純1A1B1C1(数)(言語)A知識・理解思考B論理的思考C創造的思考知識・理解応用・論理批判・創造思考レベル⇒思考力テストの問題標準的な私立中学入試の問題B3C3C2A2A1B1B2出所:首都圏模試センター※「適性検査型」「思考力」「作文」「自己アピール」など2科・4科以外の入試方法について集計(英語入試は含まない)2014年2015年2016年2017年140120100806040200(校)385386120科の知識だけを問う入試とは異なるさまざまな入試が生まれている。その場で与えられた課題に対して自分なりの意見や発想をまとめたり、図書館の資料を使ってレポート作成したり、自分の学習歴に関するプレゼンテーションを行ったり…各校が工夫をこらして知識量だけではない多様な力の評価を試みている。 こうした新タイプ入試は今、首都圏私立中学校を中心に急速に拡大。17年度の首都圏での実施校数は、3年前の3倍だ(図3)。首都圏の全体の受験者数は、07年の約5万人をピークに減少傾向にあったが、14年を境に3年連続で増加している。中学入試模試を行う首都圏模試センターの教務情報部長・北 一成氏は、その背景に新タイプ入試があるという。 「従来の知識蓄積型の内容ではない新タイプ入試の登場は、塾通いをしてこなかった児童にも受験機会を広げています。それが受験者数全体を押し上げていると考えられます」 さらに今後も新タイプの入試の拡大は続くと北氏は予測する。その理由の1つは、保護者の意識の変化だ。 「いわゆるミレニアル世代(2000年以降に成人あるいは社会人になった世代)と呼ばれる最近の小学生の保護者層の価値観は、競争が激しかった団塊の世代やベビーブーム世代とは大きく違っています。若いほど『学歴信仰』は薄まり、変動の激しい時代を生き抜く力により重きを置いていると感じます。今後はこのような考えの保護者のもと、新タイプ入試の受験者が増えていくでしょう」 首都圏模試センターはこうした動きに対応するため、さまざまな問題に取り組む際に必要な力を「思考コード」として整理し、模試結果の診断や分析に活用している。その考え方のベースにあるのは、思考が発達していく階層を示したブルームのタキソノミー理論で、いくつかの私立中高一貫校でもそれぞれ独自の思考コード(ルーブリック)を作成している。 首都圏模試センターの「思考コード」の横軸は思考レベルを表す。Aは知識・理解思考、Bは論理的思考、Cは創造的思考だ。縦軸はそれぞれの問題難度を示すもので、数字が大きくなるほど難度が高くなる。この「思考コード」に中学入試問題の傾向を当てはめてみると、中堅校の従来型問題はA・B領域中心、新タイプの思考力入試はB・C領域中心だ(図4)。 では、それぞれの領域の力を測るのは、具体的にどんな問題か。首都3年間で3倍に新タイプ入試実施校は出所:首都圏模試センター「思考コード」に分類すると…問題に取り組む力をReport ▶▶▶ここまで進む!中学入試…聖学院中学校、香里ヌヴェール学院中学校変わる大学入学者選抜 何を問うか、どう育むか。232017 JUL. Vol.418

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