キャリアガイダンスVol.418
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ち上げたのが、教科横断による「課題研究」のプログラムだ。 同校では2学年でシンガポール・マレーシアあるいは北海道を訪問する研修旅行を実施している(研修先はコース別/17年度は北海道から台湾へ変更)。これを単発のイベントではなく、事前・事後指導を含めた約1年間の探究的な「課題研究」の核として再構成。事前に各自が設定したテーマを研修旅行で調査・検証し、論文やポスターにまとめて発表するという流れをつくった(図3)。 「課題研究」の狙いは、生徒が「自ら問いをもち考える」ことだ。単なる「調べ学習」ではなく「研究」レベルの取り組みとするためには、いかに生徒自身のなかから解明したいことを引き出してテーマ設定できるかがカギとなる。事前学習では、「総学」や国語の授業でレポートや論文作成のノウハウを教えるとともに、地歴科や理科、芸術科などさまざまな教科の授業で研修先に関連した特別講義やグループ学習を実施し、テーマ設定のヒントを提供。漠然と「〇〇について」ではなく、「シンガポールの罰金制度に効果はみられるのか?」「日本とシンガポールの緑化政策に違いはあるのか?」のような疑問形でテーマ設定できるよう指導している。 論文やポスターからは、生徒が自ら調べたことを基に論理的に考える力や、考えたことを表現する力を育んでいることがうかがえるという。また、進路への影響も出ており、今春、京都大学の「特色入試」に合格した卒業生は、合格の理由に課題研究に取り組んだ経験をあげた。副校長前野正博先生指導教諭遠山晶子先生進路支援部長米本朋生先生英語科光木 宏先生国語科桝屋房子先生園部城跡に建つ同校は、かつての城門が校門として使用されている。課題研究の成果をまとめたポスター。研修先のマレーシアで農園を視察。京都大学大学院教育学研究科・西岡加名恵准教授と同校教員24人の共同執筆により、同校の取り組みをまとめた『パフォーマンス評価で生徒の「資質・能力」を育てる』(学事出版)を出版。 「当初、課題研究は大学入試対策の妨げになるのではないかという不安もありました。しかし、自分で考えよう、やってみようという生徒の根本的な意識の変化を感じ、今は生徒の将来のために必要な取り組みだととらえています」(国語科・桝屋房子先生) 十数年前と比べ、「まったく違う学校になった」と前野副校長。現在も学力が多様な生徒が入学してくるが、どのコースの生徒も落ち着いて授業に取り組んでいる。 「壁にぶち当たっても、すぐ諦めることなく、周りと相談したりしてポジティブに動くようになりました。できるようになろうという意欲を感じます」(進路支援部長・米本朋生先生) 卒業生からは、進学先でグループワークなどを行う際、周囲の受身な態度に驚くという話が聞かれる。それだけ同校卒業生は主体的に動く力がついているということだろう。 「変化の激しい現代社会では、絶対的なノウハウや成功パターンがあるわけではありません。自ら動いてさまざまな状況に対応し、乗り越えていってほしいですね」(遠山先生)「わからない」に対して諦めなくなった2学年「課題研究」指導の流れ(2015~16年度)図3(1年)事前オリエンテーション (担当:学習支援部)研修旅行(担当:学年部を中心とした引率団)テーマ設定・第一次レポート作成レポート作成・ポスター制作・発表研修旅行のおすすめスポットについて1分間英語スピーチ※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.418)生徒の多様な力を伸ばす実践ポイント〇課題学習の取り組み方指導(担当:国語科・国際科)〇テーマを探すための事前学習指導(地歴科・公民科・国際科・理科・芸術科・学習支援部)〇レポート作成指導(担当:国語科・関係教科)〇ポスター制作指導(担当:国語科・国際科)〇教科からのパフォーマンス課題(担当:英語科)◉ 教科で目指す到達目標を設定し、そこから逆算して授業を設計◉ 授業にパフォーマンス課題を導入し、ルーブリックにより評価◉ 課題研究プログラムの事前学習としてさまざまな教科が特別 授業を行い、生徒自身のなかから取り組みたいテーマを 引き出す◉ 課題研究のテーマは疑問形で設定させるCase study 07▶▶▶生徒の個性を伸ばす学び…園部高校変わる大学入学者選抜 何を問うか、どう育むか。292017 JUL. Vol.418

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