キャリアガイダンスVol.418
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年目標キャリア探究の活動1年生将来の進路や自己について知り、進路実現に向けた基本的な考え方を学び、将来の進路目標を設定する。2年生実際に行動してみて、自己を振り返るとともに、進路実現に向け基礎力を養う。3年生高校3年間の学びの集大成として、自分の考えをまとめ表現する。 1973年に普通科高校として開校した愛知県立南陽高校は、普通科コース制を経て、2007年に総合学科となった。改編当時は指導が困難な状況にあり、進路未定のまま卒業する者も少なくなかったという。 「生徒にどう社会で生きていく力をつけたら良いか。当時の教員が頭を悩ませ、県教委の支援を受けて出した結論が、総合学科への改編です。それから約10年、生徒の個性や主体性を重視する総合学科の特色を生かし、生徒のやる気や興味関心を引き出そうと努力してきました」(校長・金尾正枝先生) 同校には現在、7つの系列がある(図1)。2年次から系列に分かれ、100以上の選択科目から各系列に即した学習をしている。 すべての系列の学びの土台となっているのは、「産業社会と人間(産社)」と「総合的な学習の時間(総学)」で展開する、3年間のキャリア探究プログラムだ(図2)。進路や科目選択に直接的に関わることのほか、1年次の「産社」では人間関係トレーニングや社会への視野を広げる学習を行い、2年次「総学」ではグループで課題解決型の学習にも取り組む。3年次「総学」では集大思考力を重視した探究的な学びで社会問題に自ら立ち向かう意欲・力を育成成として、各自の進路に関するテーマを設定して卒業研究に取り組む。 このプログラムでは一貫して思考力の育成を重視している。そのため1年次から徹底的に「書かせる」。毎回の授業では、少なくとも2ページあるワークシートで考え方の切り口を示し、それに従って書くことで考えを深める。 「話を聞いたり調べたりするだけでなく、文章にまとめるという作業を加えることで、知識として定着させ、論理的に考える力や文章表現力を育むと考えています」(柘植政志先生) プログラムのコンテンツは改善を重ねてきた。例えば、数年前、2年次のプログラムに知的財産教育を導入。知的財産に関する講習を行ったうえで、日常的に困っていることを解決する新しい意匠デザインをグループで考案し、発表会を行うようになった。 その効果もあって、3年次「卒業研究」の内容が近年ぐんとレベルアップしたという。生徒が設定するテーマは、以前の「コンピューターの歴史」「犬について」など漠然としたものから、「インターネットの発展と危険」「日本の警察と外国の警察の共通点・違う点」のように具体化。焦点が絞られ、研究に深みが出るようになった。また、インターネットからの単純な引用は減り、アンケート調査や実験、観察など独自の情報収集を行って考察する例も増えている。「2年次で課題を見つけて解決策を考えるという探究のプロセスを経験する1973年設立/総合学科/生徒数702人(男子257人・女子445人)/進路状況(2017年3月卒業者)大学49人・短大14人・専門学校81人・就職69人・その他(公共職業開発施設含む)10人総合探究系列世界の出来事や社会問題を取り上げ、グループ討論などを通して視野を広げる。人文国際系列文学や語学、社会の仕組みや歴史などを学ぶ文系大学・短大への進学を目指す。自然科学系列理科や数学、工学などを学ぶ理系大学への進学を目指す。情報ビジネス系列情報、流通、簿記などを体験的に学ぶ。福祉ネットワーク系列福祉について詳しく学ぶ。フードコーディネート系列調理や栄養について詳しく学ぶ。ライフクリエーション系列さまざまな体験的学習や、資格取得に取り組む。社会で生きる力の育成へ総合学科への改編思考力のベースをつくる「産社」「総学」プログラム「産業社会と人間」「総合的な学習の時間」のプログラム概要7つの系列図2図1・学問について知る・卒業後の進路を考える・職業について知る・グループワーク・グループでの探究活動・進路目標についての研究・卒業研究・社会について知る・作文を書く・自分の考えをまとめ発表する・自己分析・人間関係トレーニング・他者理解〇進路意識向上〇科目選択〇進路意識向上〇進路実現への意欲〇協調性の育成〇表現力の育成〇表現力・プレゼンテーション能力の育成〇他者と関わる実践力育成〇問題設定力・問題解決力の育成〇進路意識向上・進路実現に向けた研究〇社会問題を知り視野を広げる〇表現力 育成〇コミュニケーション力育成取材・文/藤崎雅子「産社」「総学」では、学んだことの感想や意見についてたくさんの文章を書かせる。2年「総学」では新しい意匠デザインをグループで考案。「着せ替え可能・伸縮自在な傘」などのアイデアが出た。学校データ302017 JUL. Vol.418

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