キャリアガイダンスVol.418
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ことで、卒業研究に向けて段階的に思考力を育めるようになったと感じています」(廣嶋あかね先生) こうしたベースの上で、各系列は特色ある教育を展開している。例えば、国公立大学進学も見据える総合探究系列には、さらなる思考力育成と国際的視野の拡大を目指す、2つの学校設定科目がある。1つは2年次「総合探究入門」で、愛知大学や愛知工業大学と連携し、異文化理解やハザードマップ作成などに取り組む。もう1つの3年次「ワールドスタディズ」では、JICA中部の協力も得て、貧困や教育などの国際社会の諸問題について学ぶ。やはり「書く」ことを重視しており、単元ごとに1000字のレポートを課す。 授業がきっかけとなって、生徒が自ら社会のために立ち上がることもある。昨年度、外部講師からカンボジアの地雷被害に関する講話を聞き、衝撃を受けた同系列の生徒は、全校生徒を巻き込んで地雷撤去のための募金活動を展開した。 「授業では、社会、世界の問題についての知識を提供するだけでなく、常に自分の問題として落とし込み、解決のために自分に何ができるかを考えさせるよう心掛けています。きっかけをつかむと、生徒は想定以上にフットワーク軽く行動します」(佐久間綾花先生) また、情報ビジネス系列が履修する情報系・商業系科目では、社会との接点のなかでの体験的な学習が充実している。科目「電子商取引」と「マーケティング」では、楽天が提供する授業プログ校長金尾正枝先生教務主任小こみ味隆浩先生総合学科推進担当柘植政志先生キャリア担当廣嶋あかね先生総合探究系列担当佐久間綾花先生総合探究系列の授業では、付箋を使ったグループワークやKJ法による分類などを行う。商業科目の授業で、地元企業のインターネット販売ページの制作に取り組んだ。●Nanyo Company部2010年に有志生徒により発足し部活動に。フェアトレード商品や地産食材を活用した商品開発、カーボン・オフセット制度を活用した商品開発などに取り組んでいる。第4回eco-1グランプリ文部科学大臣賞、2017愛知環境賞中日新聞社賞など受賞。●カンボジア地雷撤去支援カンボジアの地雷撤去に取り組むNPO法人の話がきっかけとなり、総合探究系列の生徒は各クラスを回ってカンボジアの現状を伝え、地雷撤去のための募金を呼び掛けた。●温室効果ガス排出量ゼロ 学校行事カーボン・オフセットについて学んだ生徒の発案により、体育祭や文化祭でカーボン・オフセット制度を利用したクラスTシャツを着用することに。さらに、別の生徒からの提案で、文化鑑賞行事も「カーボン・オフセットライブ」にするなど広がっている。ラム「楽天IT学校」を活用。地元企業のインターネット販売ページの制作に参加している。 また、科目「商品開発」では、「総学」でも取り組む知財教育をさらに発展させ、二酸化炭素排出量ゼロの商品企画に取り組んだ。すると、この授業を選択していた生徒の提案により、学校行事で生徒が着用するクラスTシャツでカーボン・オフセットをするという学校全体の取り組みに発展した。 「学んでいることが社会で生かせるということを体感するには、地域や企業との連携が最も効果的だと考えています」(柘植先生) さまざまな授業における生徒の取り組みの質は年々向上しており、進路面では今や進路未定者はほぼいなくなった。ただし、入学する生徒層はあまり変わっていなく、入学時は自己肯定感の低い生徒も多いという。それが、同校の学びのなかで変化するようだ。 「1000字レポートや商品企画など正解のない活動は、やりきれば認められます。そうした小さな達成感の積み重ねで自己肯定感が高まり、授業のさまざまなきっかけで何かに挑戦しようという意欲にもつながるのではないでしょうか」(柘植先生) 今後については、「『総学』などの課題解決型の授業をより生かせるカリキュラムをつくっていきたい」(教務主任・小味隆浩先生)、「地域や社会で学ぶ場を引き続き大切にしていきたい」(金尾校長)と、総合学科ならではの特色をさらに打ち出していく方向だ。社会に対し自分たちができることを考える正解のない課題が自己肯定感を高める生徒の多様な力を伸ばす実践ポイント◉ 「産社」「総学」に課題解決学習を取り入れ、3年間の体系的なキャリア探究プログラムを構築◉ 感じたこと・考えたことを徹底的に書かせ発表させる◉ 大学や団体などの専門家を通じ、社会的な課題に  ついて情報提供する◉ 企業や地域と連携し、実践的な課題解決学習を  取り入れる◉ やりきることで達成感が得られる、正解のない  課題を多く設定する生徒が起点となった活動例Case study 08▶▶▶生徒の個性を伸ばす学び…南陽高校変わる大学入学者選抜 何を問うか、どう育むか。312017 JUL. Vol.418

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