キャリアガイダンスVol.418
37/66

372017 JUL. Vol.418子どもたちの課題から始まり、子どもたちの未来に還していく授業になっているかということです。 教科の魅力や本質といったとき、内容の面白さに目が行きがちですが見落としやすいのがプロセスです。実際、歴史の先生は、時代のつながりやストーリーを紡いでいく点に面白味を感じ、教材研究などを通じて「歴史学」を堪能した結果生じた解釈を授業で楽しそうに伝えています。数学の先生も、複数の解法を黒板に示したうえで、「どちらの解き方が良いかといえば、こちらがいい」とやはり楽しそうに解説する。なぜ、そうしたプロセスを生徒に体験させないのでしょう。ここ一番のタイミングでグループ学習などを導入することはできるはず。教科の一番おいしいところを先生が独占してはいけません。 では、「使える」レベルの力をどう評価すればいいか。「わかる」までの学習であればペーパーテストが有効でも、「使える」レベルにはなじみません。運転免許取得時に技能試験があるように、実際に運転させないことには評価できないのと同じです。パフォーマンス評価は、それを解決する手段として登場しました。学習者の作品(パフォーマンス)やふるまいを手がかりに、概念の意味理解や、知識・技能の総合的な活用力を測る評価手法です。狭義には、学習者の実力を試す課題(県のPR企画を提案する社会科の課題や食事制限者向けの献立を作る家庭科の課題など)を課し、実践させてみて、活動や成果物を評価すること。広義には、授業中の発言や行動、ノートやレポートの記述から、日々の学習活動のプロセスを形成的に評価することまで含みます。思考力・判断力・表現力等、見えにくい学力を評価する方法として注目されています。 ペーパーテスト、しかも一発勝負の試験では測れる力に限界があります。その点、選抜型から選考型へ、マッチング型へのシフトが起きつつある大学の入学者選抜も、こうした考え方に基づき、高校時代の諸活動なども材料にしながらトータルに選考するようになってきています。実際、考える力を測る素材として、学習活動の中で生み出された論文ほど適当なものはないと思います。そのプロセスにおいて、さまざまな人と議論しながら、もてる知を総合するわけで、他者はもちろん、自分との深い対話を経て、形にしたものだからです。● アクティブラーニング(AL)やカリキュラム・マネジメントなど、今回ほど、横文字のキーワードが踊った学習指導要領の改訂はないでしょう。現場としては「あれもこれもしなければ」と戸惑うわけですが、一つひとつが繋がっていると考えたらどうでしょう。何のためのALかといえば資質・能力を育むため。その資質・能力をどう評価すればいいか考えたとき、多面的な評価が必要であり、なかでもパフォーマンス評価が有効になる。そうしたカリキュラム改革を進めるためには、教員の力量形成やチームとしての取り組み、学外のリソースも必要になるし、前提として、どういう生徒を育てたいかという議論も重要になる。それこそカリキュラム・マネジメントです。 さらには、そうやって育んだ広義の学力が、生徒の将来にも繋がる形で、適切に評価されるよう大学入学者選抜の改革も進んでいる。すべて根っ子の部分で繋がっているのです。一連の改革を受け流さず、目の前の子どもたちの課題から出発し、ぜひ子どもたちの未来へ還してください。パフォーマンス評価と大学入学者選抜の改革Special Message ▶▶▶今、求められる学力とは変わる大学入学者選抜 何を問うか、どう育むか。

元のページ  ../index.html#37

このブックを見る