キャリアガイダンスVol.418
39/66

生徒が活躍する未来を見据え、男女共学化を決断。伝統に革新を調和させる近藤彰郎学校法人八雲学園 理事長八雲学園中学・高校 校長まとめ/堀水潤一 撮影/竹田宗司1938年 八雲高等女学校創立。47年 学制改革により八雲学園中学校高等学校に。69年 中学校休校、96年 同再開。教育の特色として、進路指導、グローバル教育、文化体験、チューター(学習アドバイザー)を掲げる。海外研修拠点として米国カリフォルニア州サンタバーバラに「八雲レジデンス」を設置。国際私立学校連盟・ラウンドスクエアに加盟。2018年4月に男女共学化を予定。八雲学園中学・高校(東京・私立)こんどう・あきお1947年生まれ。慶應義塾大学法学部卒業。民間企業に9年間勤務した後、78年、祖父が創立した八雲学園に入職、高校教諭に。空手で培ってきた体力、精神力も活かし女子教育に没頭。事務長、副校長を経て、95年学校法人八雲学園理事長、八雲学園高校校長に就任。翌96年、長年休校していた中学校を再開するとともに中学校長に就任。その際、少数の教員と年間延べ1万回の塾訪問をしたことが話題に。民間からの転身を第1の決断、中学再開を第2の決断とすれば、2018年4月に予定している男女共学化を自身第3の決断と位置づけ奮闘中。全国高等学校体育連盟空手道専門部部長、全日本空手道連盟常任理事、東京私立中学高等学校協会会長、日本私立中学高等学校連合会副会長など役職多数。2010年藍綬褒章受章。 八雲学園では創立当初から英語教育、女子教育に力を入れてきました。移民としてアメリカで働いていた創立者が語学で苦労したこと。また帰国後、女性の教育力向上の必要性を痛感したことが理由です。以降、時代の要請に基づきながら、しっかりと女子教育を行ってきました。 一方、生徒が活躍するこれからの未来を見据えたとき、真の男女共同を実現するためにも、若いうちから共に学ぶ必要性も感じてきました。男女の違いを特性としてとらえ、互いに尊敬しあえるような人間関係、さらには弱者に対して優しくできる人間性を形成するために、どのような教育環境が適しているか。熟慮の末、創立80周年を迎える2018年に共学化し、再スタートを切る決断を下しました。私個人としては、民間から教育界への転身、中学校再開による中高一貫校化に続く、第三の重い決断でした。 意外にも関係者から直接的な反対はありませんでした。本音としては不安や驚き、寂しさはあるでしょう。しかし、新しい時代を切り拓き、発展していくために決意を受け入れてくれたのだと思っています。そして、その思いが変革へのエネルギーになっていることも感じています。 伝統と革新をいかに調和させるかが最大のテーマです。そのため「進路指導」「グローバル教育」「文化体験」「チューター」の4つの柱は継続して進展させていきます。特筆すべきは、高1で実施する「9カ月プログラム」。カリフォルニア大学サンタバーバラ校で250時間かけて4技能を鍛えるうえ、3カ月ずつの事前・事後学習をあわせた9カ月におよぶ英語漬けのプログラムです。もともとエール大学との交流等で刺激を受けた生徒の要望により4年前に始まったもの。本校には既に、中3時に実施する2週間の海外研修や、高校生希望者対象の3週間プログラムがあり、「長期研修が受験勉強に悪影響を与えないか」という懸念もありました。しかし、学びの動機付けや自律した学習習慣にもつながり、実現させて良かったと心から思っています。今後は希望者対象に1年間現地滞在留学プログラムも準備していきます。一方、研修先で痛感するのがプレゼンテーション能力の差です。現地の生徒が堂々としているのに日本の生徒はどこか消極的。けれど、日本人も準備さえすればできるのです。つまり、そうした教育を受けていないだけ。そこで、問題解決型学習とともにプレゼンの機会を増やす授業改善を行っているところです。 担任以外に担当教員が付き、思春期の悩みなどに対応するチューター制度についても、女子教育において効果的でした。共学化後も学習アドバイザーとしての役割を増やしつつ継続していきます。この他やるべきことは山積みですが過大な心配はしていません。生徒一人ひとりをしっかりと見つめながら、最適と思われる対応をその都度全力で行うことも、これまで通りです。真の男女共同を実現するために2018年4月共学校として再スタート進路指導、グローバル教育、文化体験、チューターを4つの柱として進展させる392017 JUL. Vol.418

元のページ  ../index.html#39

このブックを見る