キャリアガイダンスVol.418
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導しています」と榎本先生。小テストはこれに非常に役立っており、授業前の小テスト対策や授業後の見直しで、クラスの仲間と教えあっている生徒が多く見られる。 また、複数の部活動が全国レベルで活躍しているため、生徒が互いに「◯◯部はすごい。◯◯部はがんばっている」と尊敬し合う様子も自然に見られるそうだ。榎本先生は言う。「野球部にすごい投手が一人だけいても勝てない。でもその生徒が打撃練習の投手をしてチームメイトのために時間を使いチームの力が上がれば、より高い次元で戦うことができる。高い次元を経験すれば、その生徒のためにもなる。教室での勉強も同じで、いろいろな学セージができあがります。12月といえば3年生がもっとも不安定な時期なので、後輩へのメッセージを書くことで自分が落ち着く効果もあります」と榎本先生は言う。 さらに、受験対策の補習など3年生向けの連絡事項を2年生も見える場所に掲示。「今、3年生はこんなことをやっている。自分たちももうすぐだ」ということを2年生に意識づけるのが目的だ。自習室で勉強している姿が窓から見えやすい造りになっているのも、同じような効果を期待してのことだ。 「3年1月の登校率のよいクラスは進学実績がよいということを、私も他の先生方も経験的に感じていました」と榎本先生。そこで、3年1月の登校率向上に意識的に取り組んだ。 センター試験前後には1カ月単位で時間割を変更し対策授業を実施。また、体育の時間を減らさないように工夫した。運動部が8割を占める同校においては、体を動かすことによってストレスを発散させる効果があるからだ。そしてまた教室に戻りいつもの仲間と勉強する。センター試験は、推薦で決まった生徒も国立を受験しない生徒も、球技大会や体育祭と同じようにクラスの仲間と一緒に受験する。そうすることで、目標が明確になりクラスが一体となる。生徒に「最後まで学校でみんなで学び続ける」という意識づけをして、結果に結びつけている。力の生徒がいるクラスの中でチーム力を活かし全体の力を上げていく。それが川和の校風に合ったやり方。〝受験は団体戦〞と繰り返し生徒に伝えています」 オープンキャンパスや入試説明会に部活動で行くことができない生徒が大半。また、6月の体育祭は3年生が中心の縦割りクラス対抗で実施されるので、ここまでは行事にも全力投球だ。そこで、体育祭終了後の3年生の6月後半から7月上旬に大学ガイダンスを実施。東京工業大学、早稲田大学を始め進学希望者の多い大学に直接依頼して今年度は17校の広報担当者に来校してもらう。生徒は複数の大学の説明を受け、最新の情報を得る。部活動も引退し、ここから生徒は本格的な受験モードに入る。 部活動が盛んな学校らしく、先輩、後輩のつながりは強く、特に指導にきてくれる大学生のOB・OGの助言などは、受験へのモチベーションアップに大いに役立っているそうだ。 そんな同校で12月恒例の「エール交換」。受験間近の3年生が2年生に向けて「1年後の受験生へ」というメッセージを書く。2年生は「受験間近の先輩へ」というメッセージを書く。記名か無記名かは問わず、それを廊下にずらりと貼り出すのだ。「後輩へのいろいろな思いが込められた3年生のメッセージと、部活動でお世話になった先輩への愛情たっぷりの2年生のメッ先輩の姿を見ることが受験に向けた心の準備に進路指導実践を磨く! 普通科編先輩とのエール交換図3 学習到達進度イメージ説明図(対生徒、保護者)川和高校の進路指導のスタンス学校は安心・安全な場所みんなで一緒に戦っていく 川和の生徒は入学前から「高校からは団体戦」と言われ続ける。「中学までは同級生もライバルになり得るが、大学受験で戦う相手は全国の高校生。隣の友達を蹴落としても意味がない。それよりもみんなで楽しく学校に来て、みんなでレベルアップしていこう」 小テストや共通の定期テスト、休み時間の学習、自習室での学習、部活内の先輩と後輩の関係…そういうものを通して、生徒たちに「学校は安心・安全な場所」と思ってもらうことを大事にしている。 進学実績が大幅に上昇し、センター試験受験率も100%。しかし、思い切った改革をしたわけではなく、いいと思われることを少しずつ取り入れていった結果だ。「劇薬ではなく漢方薬。何年かかかってじわじわ効いてきました」と榎本先生は言う。他校の実践例などから学び新しい取り組みを導入する時は、ただ真似するのではなく、川和の伝統や校風に合うかどうかをしっかり吟味している。 個々にがんばっていた生徒たちがみんなで戦うようになった。授業レベル向上のために切磋琢磨するなど、教員も自然と団体で戦う体制になっている。高低中1中2中3高1高2高3大学受験時中高一貫私立校の生徒川和高校生センター対策と体育の授業最後まで学校で学ぶ3年1月の登校1・2年生のうちにじわじわと学力アップを図り、受験勉強のスタートダッシュは3年生から。中高一貫校に進学している生徒も多い土地柄、イメージ比較図を作り、生徒や保護者に説明している。●センター試験後 もレベルUP●2次試験当日まで 伸びる●国立後期試験 当日まで伸びる432017 JUL. Vol.418

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