キャリアガイダンスVol.418
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462017 JUL. Vol.418 進路に対する考えの違いで言い合いが始まること、実際にありえます。こういう場合、〝言い合い〞を何とかしようとすると、かえって収拾がつかなくなる可能性があります。とりあえず冷静に、お母さんの投げかけにも、私なら率直に「そうですね」と返しながらも、別の考え方などもお伝えすると思います。「先生だったら?」のような問いかけには、まずはウソをつかず答え(自己開示)、とはいえこういう考え方もできますと伝えること(情報提供)が大事だと思います。 このケースの場合、生徒も保護者も、大学や専門学校に対してステレオタイプな見方をしている様子です。特に生徒は、これまでのキャリア教育で、自分の考えがうまく定まっていない可能性があります。まずは、将来どうなりたいのかなど、自分の将来像を考えるための具体的な支援をしていきます。一方で保護者にも、キャリアについて広く考えてもらって、次に狭めるために、例えば夏休みに、親子でオープンキャンパスに行くことなども勧めると思います。そういう意味で、この面談は、「ここからスタートするんだ」という機会と捉えることが大切です。 保護者と生徒との間で希望に齟齬があることはよくあるので、必ず三者面談の前に、生徒に、保護者に希望を言ってあるかどうかを面談して確認します。 また、HR時に、保護者と意見の違う人はいないか、このケースのような例を示してそれだけは困ると伝えます。意見が違ってもいいし、保護者に自分の意見を言っていないならそれでもいいけど、そういう状態の人は必ず教えるようにと指導します。クラスのPTAの会でも、よくあるケースとして話しています。そのおかげか、実際にこのようになったことはありません。 この面談の中では生徒も保護者もおさまらないので、保護者には「生徒と個人面談を進めていく」ということで、この場は打ち切っていった方がよいと思います。 その後、生徒本人との面談では「逃げ」で専門学校志望に変えたのなら、必ず後悔すること、保護者も大学への進学を認めてくれているのだから、大学進学の条件は本人次第であることを確認します。また、学力が思うように伸びてこないことが専門学校志望と言い出す原因の場合が多いので、学習方法などのアドバイス等を中心に話を進めていくとよいと思います。 本気で専門学校志望について考えているのであれば、進められる具体的な学校について調べていくように指導します。  生徒が学校での勉強はがんばっているか、集中力がなく無気力になっているかなど、教員の把握している状況によって対応は分かれます。また、文理のコース分けが、2年からなのか3年からなのかも大きなファクター。今回は、文理分けが3年からという前提で考えてみました。〈授業中の勉強はがんばっている場合〉 進路については悩んでいると思うので、この夏休みにしっかり方向性を考えましょうと親子に投げかけます。その後は、夏休み中(1週間後くらい)に生徒面談をしたり、夏休み後半にも2学期の取り組み(具体的な学校調べなど)を指導します。〈学校での取り組みも悪く、前向きな姿勢が見られない場合〉私ならこうする!こうした!実際に、読者の先生方がどうされたか・どうされようとするかをお伺いしました。教育カウンセリング心理学の専門家の視点から、ケース対応の極意をアドバイスいただきました。会津大学 文化研究センター上級准教授 苅間澤勇人先生かりまざわ・はやと●1986年岩手大学工学部卒業後、岩手県立公立高校教諭に。早稲田大学大学院教育学研究科後期博士課程単位修得退学。教育学、教育カウンセリング心理学を専門とする。2015年4月より現職。生徒にも保護者にもキャリア教育を考えていく意見を聞かれる問いかけには「自己開示+情報提供」を事前の根回しで事態を回避(北海道 匿名希望先生)生徒の日ごろの状況によって対応(神奈川 匿名希望先生)本人の本気度合いを確認(神奈川 匿名希望先生)

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