キャリアガイダンスVol.418
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を掘り起こすこと。活動中は本当にいい顔をしています。生徒には自信をもって地域をアピールし、発展に貢献できる人になってほしい」という。「奄美を担う人作り」は学校の目標でもある。情報処理科の授業でも観光振興と絡め、地域情報の発信に取り組んでいく予定だ。 また「この先、人生のなかで迷い、苦しいことに直面したとき、戦争体験をしたおじい、おばあの話が生きてくる」という思いもある。昨年10月には、広島経済大学と琉球大学の教員によって、成果を「デジタルストーリーテリング」の手法でまとめる研修が行われた。これは、写真の上にナレーションを重ねて1、2分のムービーを作るというもの。飛松千暁先生は「こんな1949年創立/普通科・情報処理科/生徒数99人(男子48人、女子51人)/進路状況(2016年度) 大学・短大9人、専門学校15人、就職13人、その他0人後列左から 樋之口 仁教頭、内野優太さん(3年)、川畑龍平さん(2年)、玉利 光さん(3年)、飛松千暁先生、佐藤望蒼さん(2年)、川原かのんさん(3年)地域の方たちに聞き書き調査の報告を行うなど、島内外での発表の機会も多い調査を基にまとめた地図聞き書き調査は、地域の方の家を訪ねて行う。郷土料理をご馳走になることもしばしば学校に戻ってまとめ作業。冊子にするためにパソコンで原稿入力もすることまでできるんだ!と生徒の作品に感動しました。私たちがしたのは、時々アドバイスをすることぐらい」という。 生徒が題材にしたのは、戦争中に郵便局員として通信を担っていた方の話や、戦後の厳しい時代に級友の教科書を書き写して学校で勉強したというエピソード。作品を視聴すると、自分の言葉で再構築することで、自分の生き方とも関連づけて考えられるようになったことがうかがえる。 課題解決を志向するなかで忘れられてしまうこともある、足元にある価値。地域の宝を掘り起こす聞き書き調査は、生徒が自分の宝を掘り起こす活動でもあるのではないか。  聞き書きサークルのメンバーに参加動機を聞くと、それぞれに違う答えが返ってきた。内野さんは「鹿児島出身なので奄美のことをもっと知りたくて」。一方、川畑さんは「生まれてからずっと奄美なのに知らないことが多いのが恥ずかしくて」、佐藤さんは「隣の地区の方言や文化がどう違うかに興味があった」と言う。 活動を通して得たものもさまざまだ。「奄美方言をもっと有名にしたいと考えるようになった」、涙ながらに語られた戦後の苦労話を聞き「今の生活が当たり前だと考えてはいけないと思った」「自分も今が苦労するときだと思った」、親とも地域のことを話すようになった…。「母にも島を知ること、人生の先輩から生き方を学ぶことはとても大事なことと言われました」と活動は保護者からも評価されているようだ。「自分たちが当たり前と思っていたことを都会の人に〝すごい〞と言われて嬉しかった」という川原さんに見られるように、島外の大学生や研究者と触れ合ったことで地域への視座が変わった。玉利さんは「大学生が自分たちより奄美のことをよく知っていて、島の良さに改めて気付いた」ことが大きく、これをきっかけに自分も島の発展に役に立ちたいと考えるようになった。今、彼は経済学部を志望しており、県外の大学で学び、島に帰ってくる夢を描いている。視野が広がり生き方を考えるように 調査対象者を探したり、引率をしています。高校と地域とのつなぎ役をやっていると、若い人と話したい、文化を伝えて残したいというお年寄りにたくさん会います。集落に若い人が少なくなり、北高にどんな子がいるのか知らなかったお年寄りにとっても、高校生が来ることで北高が少し近い存在になりました。 高校生たちは、近くにあったのにそれまで見えていなかったものをたくさん発見します。知ることで愛が生まれ、知られることで誇りが生まれます。奄美はシマごとに個性がありますが、かつての方言追放運動のように、学校が教えることが「正しいもの」になり、それ以外のものが消えてしまうこともあります。聞き書き調査は多様なものを多様なものとしてそのまま残すことに価値があるのではないでしょうか。 正直なところこれが何かの役に立つのか立たないのか、わかりません。でも、だから面白い。聞き書き活動で地元の北高の名前がいろんなところに出るようになって、発展している様子は私も嬉しいです。「知ることで愛が生まれ 知られることで誇りが生まれます」川畑 勉さん(奄美郷土研究会)INTERVIEW512017 JUL. Vol.418

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