キャリアガイダンスVol.418
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授業で生徒に育みたい要素知識能力意欲・態度育みたい要素中学・高校で習う文法や語彙・ 生徒が知識として覚えるのではなく、読む・聞く・話す・書くといったように「英語を使う」トライアル&エラーをくり返し、生徒同士で正解や間違いを見つけ合うなかで、文法や語彙を、自身の技能として定着させる。建設的・批判的思考力複眼的思考力・ 生徒が教科書の論調に反することを考えてみたり、異なる立場に分かれてディベートしたりと、物事をいろいろな角度から捉える。意見を戦わせる力・ ペアやグループで、相手の意見を尊重しながら自分の意見を述べることに取り組む。「英語は楽しい」という感覚「英語を伸ばせた」という自信・ 英語を読む・聞く・話す・書くことを、生徒が授業中から遊ぶようにして楽しみ、その体験によって、英語を使えるという自信も育む。・ 学校外の人にも授業を見にきてもらい、生徒に「外からも注目されることを学んでいる」と感じさせて、それも自信につなげてもらう。それが今・将来にどう生きる?受験や模試に強くなる・ 高校だけでなく中学校で習う文法や語彙も定着しやすくなり、試験問題が解きやすくなる。必要なときに英語を使える・ 頭の中の知識を組み立てて話そう・書こうとしてフリーズすることが減り、感覚的に身に付けた英語でより自由に表現できるようになる。世界中の人々と一緒に活動できる・ どこで暮らすにしても異文化とも関わるのが当たり前になってきたこの時代に、異なる意見の人を排除せず、迎合もせず、お互いにどう共生・協働できるかを建設的に考えていける。時代の変化に対応できる・ これまでの常識を鵜呑みにせず、よりよい発想や選択を皆で議論しながら考えていける。卒業したあとも英語を楽しく学べる・ 大学や職場で、英語を使いながら学ぶことへの抵抗がなく、4技能をさらに伸ばしていける。国際的に活躍できる人材になる・ ローカルなところで学んできた、などと変に引け目を感じることなく、学んだことを生かして、日本全国はもちろん世界でも活躍していける。 気がかりは受験だったが、生徒たちは、1年生の秋から模試でも飛躍的な伸びを見せ、受験でも従来を上回る結果を出した。それはその学年限定の話ではなく、以降も続いた。TANABU Modelで3年間学んだ生徒が巣立つと、卒業生からも嬉しい報告が届く。「大学の英語の授業が楽勝です」というのだ。大学教授まで連絡をくれた。「田名部高校出身の学生は、大学での学びが早いようだ。授業で話すことを楽しんでいるように見える」と。 先生たちが手にした副産物もあった。英語の先生同士では、年3回学校で行う研究協議会の発表に向けて、コミュニカティブな授業を協働で行うことの課題や成果を共有しているのだが、そのなかである先生はこんな感想をシェアしている。 知識の詰め込みではない、英語を使って定着させる授業への転換は、先生たちにも未知の挑戦で、これで十分かと悩みながらの試行錯誤が続いた。でも手応えもあった。授業中の生徒たちが、これまで以上に楽しそうで積極的だったからだ。 「このテーマで話してみようとふったら生徒同士がすぐ英語でしゃべりだしたり。この子たち、すげえって思いました。休み時間や部活動でも英語で掛け合いしているのを見たときは、嬉しかったですね」 「学年で共通のワークシートを使用しているため(中略)授業準備が楽になった」「学年団で話し合う機会が増えたため、どの時点で生徒をどうもっていくかの共通理解ができた。同じ方向性で指導ができる」 TANABU Modelの成果は注目され、その授業や研究協議会には、全国から教育関係者が足を運ぶようになった。堤先生としてはそれがまた嬉しい。 「学校名を入れたモデルにしたのは、いろいろな人に本校の授業を見にきてもらいたい、という願いもあったからなんです。『この下北半島で学んでいることは、外からも注目されている』。生徒がそう感じることで、世界中の人々と渡り合っていくときの〝自信〞にもなってほしい。我々教員には、そんな思いもあったので」生徒はこう変わる英語を学ぶことを楽しみ、自己表現もできるように■ INTERVIEW――堤先生の授業はどんな授業ですか?「先生は海外にもいっぱい行っていて、アメリカ人のような英語のジョークをつくるんです。楽しいです」「面白いよね。ペアで同時通訳みたいなことしたり、英文を自分の想像で日本語に変えてみたり」「勉強だけど勉強っていう気がしない」「たしかに。遊び感覚でやる授業」「授業はすべて遊びだ、と先生も言っていて。普通の授業だと、ちょっとやりたくない、と思うんですけれど、遊びって言われると、やっぱりこっちもやりたくなるんですね。それで単語とか文法とかも覚えられたりして、すごい授業です」 私の担当教科は地理ですが、堤先生とは授業でコラボもしています。例えば、この地域の老人介護施設には、海外から実習生が働きにこられているので、その方々をお呼びし、異文化共生を考える授業をしました。 堤先生は、生徒を馬鹿にしない先生ですね。どの生徒にも学ぶ意欲があることを信じて、その子たちのプライドをどう育めばいいか考えています。その堤先生をはじめ、英語科の先生たちは、それぞれ自分なりの手法でやりたい気持ちもあっただろうに、「生徒たちが英語を使うことを楽しむ」という一点目指して、皆で議論してすり合わせ、TANABU Modelをつくりました。簡単なことではなく、すごいなと思うのです。 私自身はそんな先生方と、童話のなかで「王様は裸だよ」と叫んだ少年のような強さも生徒に育んでいけたら、と思っています。うちの生徒は本当に素直ですが、周囲を慮りすぎて言いたいことを言えないことがあるんですね。それがダメなわけではなく、常に積極的になれと求めたいわけでもありません。ただ大事なときは迎合せずに「それは違うよ」と言えるようになってほしい。聖書の「蛇のように賢く、鳩のように素直に」ではないですが、持ち前の素直さに賢明さが備われば、この子たちはきっとしたたかにこの時代を生きていけると思うのです。下北の宝ですから。この地域の宝を、私たちはあずかっているので。遊びって言われるからやりたくなる素直さの上にしたたかな賢さを1年1組の皆さん教務主任千葉栄美先生592017 JUL. Vol.418

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