キャリアガイダンスVol.419
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102017 OCT. Vol.419②その重点課題とビジョンをもとに、 今ある仕事の仕分けと精選を行う そもそもこの学校の課題は何で、子どもたちの何を伸ばしたいのか。その課題の解決やビジョンの実現を目指すには、具体的に何に取り組むことが大事か。反対に、力を入れる必要性が薄いと思われることは何か。 そもそも論から具体論まで話し合い、自分たちの仕事について「子どもの〝何の〞ために」やっているのかをはっきりさせます。そして樹木でたとえるなら、大事な「幹」は太くし、「枝葉」は剪定して風通しを良くします。仕事の優先順位だけでなく、手放す劣後順位まで決めるのです。 こうした軸もなしに、業務や行事をただ減らしたら、先生方のモチベーションは下がりますし、保護者の理解も得られません。実際、過去の働き方改革では「会議を減らす」「部活動のない日を設ける」といった小手先の改善に取り組むも、「何のためにそれをやるのか」が抜けていたので続かないケースがよくありました。 そうではなく、「うちの高校ではこれを大事にするから、ここを充実させたい。ついてはこの点は我慢したい」といった明確な意志のもとに、教職員や保護者とも合意形成を図って改善を進めるのです。そうすることで持続的な改善ができるようになり、やらされ感も解消していきます。 「子どものために」は先生方の多忙を招く原因ですが、「子どもの〝何の〞ために」までを組織で見定めれば、多忙化を改善する要因にもなるのです。 働き方改革を進める流れを、もう少し詳しく説明させてください。 「課題の原因を深掘りする」というのは、学校の課題について、それが生じた原因のうち、最も本質的なものは何かを話し合うことです。 例えば、いわゆる中堅校で「生徒の頭髪が乱れてきた」という課題が浮上したとします。その課題を額面通りに受け取れば、課題解決のためにやることは、頭髪指導の徹底です。 しかし、その原因を深掘りしたところ、「頭髪の乱れは、勉強についてこられなくなった子に目立つ」という真の課題――重点課題が見えてきたらどうでしょうか。課題解決には、全校生徒の頭髪指導に時間をかけるより、特定の生徒対象の学習支援をやるほうが効果的かもしれません。 課題の原因を深掘りし、重点化すれば、解決に向けて目指す方向性が絞れてきて、〝あれもこれも〞と手段ばかり増えて先生の徒労感が強まる、ということがなくなるのです。 では重点課題が見えてきたら、そこから学校をどう変えていきたいでしょうか。 もしくは、生徒の何を伸ばしたいか、ビジョンをまず議論し、そこに至るための課題を深掘りしたら何が見えてくるでしょう。 課題からビジョンを定めるか、ビジョンから課題を考えるか、どちらの方法もありますが、そのようにして「課題の原因を深掘り・重点化し、同時にビジョンを明確化」します。 気をつけたいのは、ビジョンを美辞麗句でごまかさないことです。「生きる力を育む」のような抽象的な言葉課題とビジョンで目指す方向性を絞り込む「子どもの〝何の〞ため」が定まれば改善につながる働き方改革の悪循環と好循環図5多方面に力が分散し、成果実感が伴わず、多忙・多忙感だけ増しモチベーション低下他の課題や自己研鑽に取り組む時間的な余裕やリソースが増える“あれやれ、これやれ”“あれもこれも”という手段オンパレード(哲学・戦略の不在)スモール・ステップから改善や成果があらわれ教職員や地域のモチベーションが向上探し出すとキリがない課題山積な学校課題の原因を深掘り・重点化し、同時にビジョンを明確化目標を美辞麗句でごまかし、課題の原因の深掘りをしないため重点が定まらない大事なことは多いが、この考え方をもとに取捨選択するという哲学・戦略を定める悪循環ケース好循環ケース44331122

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