キャリアガイダンスVol.419
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 1978年に開校した八千代松陰高校は、現在では生徒数2000人近い規模の学校だ。併設中学校もあり、両校で東京ドーム3つ分に相当する広大な学校敷地をもつ。 同校のモットーは「文武両道」。学習面では、最大9段階の習熟度別授業や、大幅な選択科目制カリキュラムなどの特色あるスタイルにより、大学進学を中心とした生徒一人ひとりに合った進路実現を図っている。また、クラブ活動にも力を入れており、50以上あるクラブのうち全国大会出場レベルがいくつもある。創立から40年間で、「進学校」「クラブ強豪校」としての評価を着実に高めてきた。 そうした躍進は、もちろん教員のたゆまぬ努力があってこそのことだ。しかし、近年、生徒の家庭環境や地域社会の変化に伴い学校への期待・要求がアップし、進路指導が複雑化・多様化するなど、さまざまな環境変化によって教「ありたい教員像」を繰り返し共有し 裁量権をもったチームで課題解決にあたる 員の多忙化が進行。同校の課題の一つとなっているという。 「本校には、生徒のためには無理を顧みず仕事に打ち込む先生がたくさんいます。しかし、管理職としてそれに甘えていてはいけない。心身ともに健康でいられる環境整備を進める必要を感じています」(竹川 威校長) 教員の多忙化に対し、同校はさまざまな手を打ってきた。 例えば、放課後に時間を取る職員会議は、各学期の始まりと終わりのみに実施。教員間の情報共有は毎朝10分間で効率良く進行させる朝礼に集約している。 情報面では、早い時期から教員1人に1台のパソコン環境を整えるとともに校務システムを整備し、業務効率化を推進。昨年からは、生徒も含め、より素早く柔軟に情報の伝達や共有ができるグーグルのソリューションを利用している。今年度の新入生からは全員がクロームブックを購入し、さらにICT活用の幅を広げていく計画だ。井上 勝副校長は「今後、教員がそれぞれで作っていた教材をシェアするなど、一層、合理化が進むだろう」と期待を寄せている。 組織・勤務体制面でもさまざまな工夫を行っている。高校に比べ中学を担当する教員の業務量が多い傾向があることから、今年度から中学担当教員の授業コマ数をこれまでより最大6コマ減らし平準化を図った。また、部活動に時間を割いて休みが取りにくい教員が多いなか、面倒な手続きをせず1時間単位で休みが取れたり、早く出勤した教員は定時前に退勤可能とするなど、勤務の柔軟性を高めている。 外部の力の活用にも積極的だ。例えば、クラブ活動では現在9クラブ13人の外部コーチを採用。授業の補助には「スタディサプリ」を導入し、補習の負担軽減に役立てているという。 もう一つ注目したいのが、竹川校長が1978年創立/普通科/生徒数1983人(男子1053人・女子930人)/進路状況(2017年3月実績)大学583人・短大20人・専門学校43人・就職9人・その他120人/教職員(管理職含む)115人取材・文/藤崎雅子推進する現場裁量権の拡大だ。これは「生徒から何か尋ねられた時に上に判断を仰ぐのではなく、自分なりの判断で答えられる先生になってほしい」と、生徒のためを第一に考えて行っていることだが、結果的に教員の働きやすさにつながっているようだ。 まず、通常業務においては「管理」を最小限にとどめ、現場判断を尊重。生徒のためになると思えば管理職にも意見が言える、風通しの良い組織づくりが心掛けられている。 「平時に管理職はいらない。平時から現場の先生を管理しようとすると、管八千代松陰高校の働き方改善のステップ●生徒を第一に考えた教員のスキルアップに力を入れている●家庭環境、地域社会からの要望、社会動向、進路環境など、 さまざまな環境変化への対応により教員が多忙化●担当による業務負担の偏りがあった(中学担当者の多忙)◎業務時間削減を目指し職場環境を整備●教職員会議の効率化●時代の流れに合わせたICT化による業務効率化●中学担当教員の授業時間を減らし、担当による業務量の違いを平準化●休暇取得や早退を促進する勤務制度の柔軟化●部活動や補習などにおける外部人材・サービスの活用◎現場裁量権を拡大し、非常時にもチームでスピーディに 対応する組織づくりを推進背景課題実 施学校データ40年間で躍進した文武両道の進学校背景と課題ICT化や業務量調整など 多岐にわたって業務改善取り組み平常時は現場判断を尊重し非常時はチームで対応副校長井上 勝先生校長竹川 威先生「多忙」とどう向き合うか教員の多忙化解消には、勤務時間の削減しか手立てがないのでしょうか?ここでは、あえて何かを加えることで教員の多忙化・多忙感の解消に取り組み、成果をあげる5つの学校の異なる取り組みをご紹介します。142017 OCT. Vol.419

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