キャリアガイダンスVol.419
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 静岡県沼津市に位置し、正面玄関より富士を望む県立沼津城北高校。9年前から全教員による学びの共同体(アクティブ・ラーニング)プロジェクトに取り組んでいる。4年制大学におよそ6割が進学する他進路は多様で、部活動も盛んである。 抱える最も大きな課題は、地域全体を含む少子化による入学者数の減少だ。2013年度の入学生は1クラス減らして募集。その際、教員は2名減った。翌年からクラス数は元に戻したものの教員の増員は1名のみ。また、クラス数減少が影響したのか、その後2年続けて定員割れが起こった。 2015年度に赴任した苫米地一路校長は危機感を感じ、在校生の出身中学校への丁寧な学校訪問を提案。しかし、教員から「多忙すぎて、今現在以上の業務を増やすことは厳しい」との声が挙がった。そこで苫米地校長が改めて勤務状況を細かくチェック。「他校「学校運営支援員」モデル校として 話し合いを重ねたことが教員の意識を変えたと比べて特別多忙ということはないでしょうが、時間外業務が月80時間、100時間を超えている先生が何人もいました」ということで、中学校訪問は管理職が行うことにした。 その他、先生方は、入試形態の多様化により個別指導が増えたことや、アクティブ・ラーニングの研修や研究授業が多いことなどにより、多忙感を感じているようだった。 2015年10月、再び定員削減の決定があった。また教員が2人削減される。これを受けて今後同校が生き残っていくために学校改革について話し合う「ビジョン検討委員会」が発足した。 学びの共同体の是非論など議論が矮小化しがちで、なかなかこれといった打開策が出ないなか、県が「多忙化解消に向けて〜学校運営支援員モデル校事業」のモデル校を募集。苫米地校長はモデル校として立候補することにした。理由は3つ。①多忙化を客観的に見つめることで他校との比較などが行いやすくなると考えた。②ある程度多忙感を取り除かないと学校改革が進まないと考えた。③再任用ハーフの学校運営支援員を配置してもらえる。再任用ハーフとは半分の時間で勤務する退職後の教員である。 同校はモデル校として選ばれ、教頭先生(当時)の代わりに国語の指導ができる支援員が配置された。教頭先生が多忙化解消に向けての取り組みに集中できるよう、県に要望した人材だ。また、相談業務ができる先生だったため、生徒はもとより教員の相談にも乗ってもらうことになった。人数でいえば0・5人の増員(週19時間25分勤務)だが、経験豊かな〝再任用〞の先生は戦力としては大きかった。「多忙化解消に向けて何ができるか悩みましたが、効率アップのための新たなシステムの導入などでこれ以上先生に負担をかけることや、無理に帰宅してもらうことで追い詰めるようなことはできないと感じました」と苫米地校長。効果的な打開策として人員の増加を期待しての判断だった。1902年創立/普通科/生徒数503人(男子265人・女子238人)/進路状況(2017年3月実績)大学110人・短大17人・専門学校40人・就職11人・その他2人/教職員:20代3人・30代6人・40代13人・50代17人・60代3人(管理職4人含む)取材・文/永井 ミカ校長苫米地一路先生 モデル校に立候補する際、苫米地校長は申込書作成のために、同校の業務を改めて見渡し、進路指導体制の見直し、メリハリのある部活動など多忙化解消案を出していった。「書類を作ることで冷静に客観的に見直すことがで沼津城北高校の働き方改善のステップ●早くから全教員によるALを取り入れており、研修や研究授業の多忙感があった●入試の多様化によりAO入試や推薦入試を受ける生徒が増え、個別指導の必要性が高まった●少子化により入学者数が減少。学級数が減り教員数が減った●一度学級数が減ったときに管理職が中学校訪問を提案。「新しいことを増やすのは 無理」と反対にあった●静岡県教育委員会高校教務課による、多忙化解消に向けての「学校運営支援員」 モデル校事業のモデル校に立候補●県への報告書提出などのために教員アンケートを全校的に実施。従来からの 委員会のテーマも一時的に多忙化解消とし意見を出し合った●モデル校となり人員が0.5人増加(教員、生徒、双方の相談に乗れる人材として活躍)●会議資料を前日配布し、当日の会議を効率化 ●分掌の見直し・減少へ ●行事の見直し・一部休止へ ●部活の顧問、AL授業の方法を見直す方向へ背景課題改善への導入実 施学校データ新しく始めたかった中学訪問しかし教員には余裕はなかった背景と課題経験豊かな人材を確保教頭は多忙化解消に専念取り組み全教員から現場の声を拾いできることから始める162017 OCT. Vol.419

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