キャリアガイダンスVol.419
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きました。やはり盛りだくさんすぎるという印象です。例えば、学びの共同体における研修。今の時代、アクティブ・ラーニングをやめるという選択肢はありませんが、学校で決めたスタイルに固執せず、もっと先生自身の特色が出るようにしてもいいのではなど、多くの気づきがありました」 モデル校に決まってからは、学校の在り方を考えるビジョン検討委員会のテーマを当面は多忙化解消とし、教頭先生を中心に取り組んだ。多忙化解消対策として7つの項目を掲げ(図1)、すぐにできることと長期的に取り組むべきことを分けて考えるなどした。委員会では、学年から推薦で参加している先生に他の先生方の意見も聞いてまとめてもらった。週1日の一斉部活休養日の採用はどうしても無理があるなどといったことは、現場の先生一人ひとりへの細かい聞き取り調査から出た結論である。 多忙化に関して議論を重ねたことで、教員が主体的に多忙化の解消を考えることとなり、多くの案が出てきた。例えば前述の部活休養日の採用は叶わなかったが、部活の実態や問題点を共有でき、顧問の削減など管理職の考えなかった案も出された。各種の会議では書類を前日に用意して配布することになり、会議時間の短縮につながった。また、分掌の統廃合を行い8つの課を5つに減らした。「業務の効率化が進んだうえ、ホームルーム担任と課長を兼任する人がいなくなりました」と苫米地校長は言う。また、教員が各地区に出向く地区会をいったん取りやめることができた。小さな行事とはいえ、長年実施してきたことをやめる決断ができた意義は大きい。 さらに全体的な意識として、早く帰宅することに罪悪感を抱かなくなった。またことあるごとに管理職が、休み、特に連休を取ることを推奨。実際に休みをとる教員が増え、時間外業務は1人あたり月平均8時間以上減り、多忙化の解消につながった(図2)。 一方、事業の終了とともに人員は再び減少。長時間労働に戻らないようにしなければならないという課題ができた。「生徒の定員減少とそれによる教員減少は本校だけの問題ではありません。今回本校では学校全体で話し合うきっかけができました。これからは地域の問題として、学校運営の効率の良いダウンサイジングについて真剣に議論していかなければならないと思います」(苫米地校長)。モデル校としての取り組み一覧事業実施による変化図1図2項目多忙化対策内 容目 的学校経営計画グランドデザインの提示学校経営目標の図式化ビジョンの共有と各自の役割の明確化をはかる校内人事分掌・担任原則として分掌主任かHR担任を各自が担当ポストと業務の平準化をはかる部活動顧問顧問人数の検討教員数減少への対策を講じる学校運営支援員教職員の相談教職員の様々な悩みに、同僚(先輩)として助言教職員が一人で問題を抱え込まないようにする保護者の相談保護者の様々な悩みに、SSW的視点から助言。必要に応じて外部機関への紹介SC的な相談(不登校・発達障害等)以外の教育相談窓口として事件・事故の予防をはかる管理職の相談多忙化対策の推進について、主担当の教頭への助言必要に応じて、教頭から支援員に相談をする時間外業務の縮減定時退勤日現行:月曜日の設定の検討実効性のある設定と実施方法を検討する退勤時刻の設定午後9時以降の時間外勤務の禁止教職員の健康を維持する生徒下校時刻の設定午後9時には家庭学習が可能な下校時刻の設定生徒の家庭学習時間と下校時の安全を確保する。教員の残業時間の減少をはかる業務の効率化会議運営事前の資料配布、意見・質問の集約会議の充実と時間短縮をはかる校内研修回数・時間・内容の見直し回数・時間を縮減し、授業時間の確保と、教員の多忙感の減少をはかる文書回覧回覧文書の精選教頭が教職員への回覧文書を精選し、回覧文書の数を減らす組織の統廃合分掌組織の見直し分掌・委員会の統廃合教員数の減少に対応して、分掌の数を減らし、主任ポストの数も減らす部活動の見直し部活動の統廃合生徒数の減少に対応して、部活動の数を再検討する労務管理管理職による面接指導時間外業務時間が月80時間を超えた教職員に対する管理職の面談健康状態について確認し、必要な場合は医師による面接指導を勧める。業務のあり方等について確認する。人員増改善意識の醸成「当たり前」の見直し働き方改善につなげるためのポイント1年間限定の人員増。数字としては0.5人の増加だが、このことにより当時の教頭先生が多忙化解消事業にかなりの時間を割けたことがよかった。現場の先生と何度も話し合いを重ねることで、学校全体に改革意識が醸成されていった。部活動や行事、会議、研修など長年当たり前のこととして取り組んできた事柄も、改めて見直すことができたことが、業務量・負担感の減少につながった。PickUpキーワード実施月時間12016年2月35.122016年6月45.532016年10月40.342017年2月26.84ー116年と17年の2月で比較ー8.3業務量負担感ABCDEABCDE学習指導等教科指導生徒指導、担任業務分掌業務部活動その他学習指導等教科指導生徒指導、担任業務分掌業務部活動その他2016年2月2.5(44.1)2.5(35.3)2.8(61.8)2.3(41.2)2.6(50.0)2.5(45.5)2.5(41.2)2.7(52.9)2.3(41.2)2.6(50.0)2017年2月2.4(35.3)2.0(23.5)2.4(38.2)2.1(26.5)2.0(11.8)2.1(26.5)2.0(20.6)2.4(32.4)2.1(26.5)2.1(14.7)増減-0.1(-8.8)-0.5(-11.8)-0.4(-23.6)-0.2(-14.7)-0.6(-38.2)-0.4(-19.0)-0.5(-20.6)-0.3(-20.5)-0.2(-14.7)-0.5(-35.3)※数値は平均値 業務量 1少ないまたはない 2普通 3多い 4非常に多い負担感 1小さいまたはない 2普通 3大きい 4非常に大きい ※( )内は3、4と回答した人の割合(%)●1月あたりの 時間外業務の平均時間数●業務量・負担感に関するアンケート(2016年2月と2017年2月との比較)2016年と2017年の2月で比較した場合、1人あたりの時間外業務が1カ月8.3時間減少。また右の図を見ると、業務量だけでなく精神的負担感も減少傾向にあることがわかる。早い帰宅に対する罪悪感が減少月8時間以上の時間外短縮へ効果と課題「多忙」とどう向き合うか…沼津城北高校「働き方改革」で、どこへ向かう?Report 02172017 OCT. Vol.419

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