キャリアガイダンスVol.419
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 こうして進めたICT化の第2段階では、生徒・保護者とのコミュニケーションが大きく変化した。生徒や家庭への諸連絡はネットワーク上でメッセージを流す操作一つで完了。生徒からのアンケートや課題などの回収もオンラインで実施。大幅なペーパーレス化につながり、印刷や配布、回収、集計の手間やコストが削減された。また、保護者は電話するほどではないちょっとしたこともオンラインで気軽に連絡しやすくなり、学校側は大きな問題に発展する前の段階での状況把握や早期対応ができるようになった。 そして、何より変わったのは授業だ。講義動画を活用した反転授業、ポスターや動画制作を交えたプロジェクト型授業など、各教員がiPadを使う多彩な授業に挑戦。先生が引き上げる授業から、生徒が自力で切り開いていく授業へと変化してきた。その実践は、Apple社から「Apple Distinguished School 2016-2018」に認定されるなど、高い評価を受けている。 ICTツールによって、教員個人のアイデア次第で新しい授業の可能性が広がる。そこに面白さを見出す教員は多く、授業改革の波はトップダウンではなく現場主導で広がった。若手も率先して取り組み、現在、授業公開を頻繁に行いながら教員同士で切磋琢磨しているという。 「もとより本校には現場の裁量で動きやすい風土はありました。さらに、こうした授業改革で若手も力を発揮しやすくなったことが、教員同士の意見交換を活発にし、組織の風通しを良くしているようです」(教頭・丸本周生先生) 従来の授業ではいかにわかりやすく説明するかが大事で、定型化しやすかったのに比べると、授業準備の負担は大きくなった。一方で、事務作業は削減されているため、仕事の総量が増えていはいない。業務時間の配分が、授業中心に変わってきたということだ。 「私自身、次はどう生徒を動かそうか、そのためにどんなツールを使おうか…と、授業設計のことで日々頭を悩ませています。しかし、そこに力を注げるのは、教員として幸せなことだと感じます」(乾先生) 今後については、成績評価へのICT活用など、新たなICT活用の可能性を探っていく同校。それによって教員の取り組む内容はさらに変わっていきそうだ。ICT化設計ビジョン研修の充実働き方改善につなげるためのポイント単にパソコンやタブレット端末を配備しただけでは、同校教員の働き方改善はなかったかもしれない。同校では、何をどう改善するかというビジョンに基づいて、ハード機器の導入に加えてポータルアプリなどソフト面の充実を図り、運用ルールも工夫。苦手な教員のために研修も継続して実施している。だからこその成功例だろう。「世の中の流れだから」ではなく、明確な設計ビジョンに基づくさまざまな環境整備が大切なようだ。PickUpキーワード授業設計にかける時間の割合が増加改善による効果iPadを使った授業の様子。セキュリティ面に配慮しつつもできる限り制限を少なくすることで、生徒は授業に限らず学校生活の中で一つの文房具として自由に活用している。アップル社「Apple Teacher」の認定バッジの取得を目指し、楽しみながら学ぶ「Apple Teacher Café」。多彩な機能をもつポータルアプリ「Cyber Campus」。映像や文書の「ライブラリ」にも簡単にアクセスできる。iPad利用に関する同校教員のアンケート結果図1iPadを日常的に授業で利用しているiPadを授業で利用し有効性を感じるiPadを授業で活用していきたい 2014年2016年32.6(%)70.281.571.796.889.4(%)(%)「多忙」とどう向き合うか…近畿大学附属高校「働き方改革」で、どこへ向かう?Report 03192017 OCT. Vol.419

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