キャリアガイダンスVol.419
23/66

 広島県立府中高校は、地域に根差した伝統ある進学校だ。現在、広島県では「グローバル化する21世紀の社会を生き抜くための新しい教育モデルの構築」を掲げて「広島版『学びの変革』アクション・プラン」を推進しており、同校は2015年からそのパイロットスクールの役割を担う「探究コアスクール」に指定されている。その方向性に合わせ、「総学」を核とした課題発見・解決学習の研究開発のほか、授業改善や評価方法の開発などに取り組んできた。 13年度から校長を務めるのは、学校経営とは「学校経営目標のもと『カリキュラム』と『組織』を両輪として動かすこと」と考える村上悦雄先生だ(図1)。同校着任時、教員個人のがんばりを認めつつ、もっと組織的に動く必要性を感じたという。経営目標の明確化と現場浸透が加速させた組織的な働き方への改革 「学校経営には、授業や評価方法をどうするかの教育論に加え、組織論も必要です。個人の力に頼り過ぎず、組織でより効率的、効果的に取り組めるよう環境整備に努めています」(村上校長) この数年、教員が組織的に動きやすい体制を整えながら、教育活動全般の変革を推進してきた。それがどう教員の働き方に影響しているか、カリキュラム面と組織面、それぞれの具体的な取り組みから探ってみたい。 最初に、カリキュラム面を目標、授業、評価の3つの切り口で見ていこう。 まず、目標については、同校のミッション・ビジョンを再確認したうえで、生徒を3年間でいつ何によってどう成長させていくか、従来の取り組みを整理して「学びと成長のストーリー」としてまとめている。場面に応じた「学習の仕方」「特別活動と部活動」「総合的な学び」の3パターンを作成し、日々の指導の指針としている(図2)。作成に関わった主幹教諭・中居寛美先生は、こう狙いを語る。 「高校の出口の進路実績は大事なことであるが、教育の第一目的ではないと1912年創立/普通科/生徒数712人(男子332人・女子380人)/進路状況(2017年3月実績)大学194人・短大9人・専門学校13人・就職2人・その他20人/教員数(管理職含む)55人教務主任實藤法道先生2学年主任見浦進理先生主幹教諭中居寛美先生校長村上悦雄先生学校データ教員個人のがんばりを 組織的な力にするために背景と課題取材・文/藤崎雅子府中高校の働き方改善のステップ●教員一人ひとりはがんばっていたが、組織的な働き方が弱かった●2015年に広島版「学びの変革」パイロットハイスクールに指定される●授業改善、活用問題や合教科活用問題の研究、ICEルーブリックによる評価方法の研究など、 「学びの変革」の実践●生徒の成長ストーリーを図式化して共有するなど、カリキュラムにおける見える化を推進●業務量調査や業務整理などに基づく、組織の見える化を推進●さまざまな取り組みの連鎖を見える化背景課題実 施府中高校の学校経営イメージ図1◆生徒につける力の明確化◆生徒の力の把握・分析・活用◆教育課程:狙い・方略・検証◆学級数・授業の編成など◆授業水準の向上方策◆評価と改善(PDCA)◆学校資産(保護者・地域・ 伝統など)の活用教育活動全体の体系化・構造化(見える化)が重要→組織を整え、育てる→人を育てる(人材育成)学校経営カリキュラム・マネジメント組織マネジメント◆学校経営計画◆組織・分掌・人員配置◆教職員のモチベーション◆保護者・地域・外部の 力の活用◆経費・安全などの管理、 危機管理相互連関・連動←次ページにつづく「成長ストーリー」を共有し新しい授業や評価にも挑戦取り組み「多忙」とどう向き合うか…府中高校「働き方改革」で、どこへ向かう?Report 05232017 OCT. Vol.419

元のページ  ../index.html#23

このブックを見る