キャリアガイダンスVol.419
25/66

低下する。そこで同校では、主任も含めて1つの分掌の所属期間が概ね2〜3年と短くしている。それにより、経験の長い個人の力量に依存するのではなく、教員同士がチームとなって分掌業務を遂行する組織づくりを促進。さらには、複数の分掌を経験することで教員個人の対応力の向上やキャリアアップに生かす狙いもある。 「このような速いローテーションを可能にするには、学校経営目標が教員一人ひとりに浸透し、分掌・個人のミッションのとの接続がしっかりできていることが土台となるでしょう」(村上校長) 教員が働きやすい環境整備にも力を入れているが、そのベースには綿密な状況把握・整理がある。同校は3年前より個人の業務量調査を実施。昨年度は「教科指導」の中身だけでも、授業、考査の作問・採点、放課後の個別指導など11項目に分け、何にどれぐらいの時間をかけているかを細かく調査。その結果にアンバランスがあれば、年度途中でも業務分担を見直している。 さらに、教員一人ひとりの業務量予測も行う。新年度の体制が決まると、分掌や担当にいつどんな業務が発生するかを細かく洗い出し、時期別に整理(図6)。それを基に、ある時期に特定の教員に業務が集中しないよう調整している。 「年間の総業務量は問題なくても、業務が集中する時期があると、最も大事な授業がおろそかになりかねません。時間軸も考慮して業務を分散させています」(教務主任・實藤法道先生) 乱雑になりがちな校内LANは、分掌ごとに管理していた書式やデータをすべて棚卸しし、わかりやすい階層構造を作って整理。他分掌の情報も含め、必要な情報がすばやく取り出せるようにした。 こうした業務効率化とともに、優先順位の低い業務は惰性で続けることはせず、大胆にそぎ落としてきた。 同校はこの数年で次々と新しい取り組みに挑戦してきたが、県の調査によると業務時間量は増えてはおらず、県平均とほぼ同水準で推移している。変わったのは時間ではなく、業務の中身だ。 「最近、周囲の教員との会話は、事務的な質問や確認が減り、『この指導案どうだろうか?』など授業の話が増えました」(實藤先生) この数年の取り組みを教員の働きやすさの観点で見た時、浮かび上がるのは「見える化」が強く意識されていることだ。あいまいになりがちなものから細かい業務まで、図や表に整理して共有。しかも、それぞれが個別に「見える化」されるだけでなく、成長ストーリー、授業改善、評価、そして教員個人の目標や業務の一つひとつまで、あらゆることのつながりが示される。ぶれない軸のもと全体像を見ながら動けることで、個人の負担を最小限にし、組織として効果を発揮していると思われる。 「つながりが見えてきたな、という先生は、自ら考えて動けるようになっています」と中居先生。その気づきは教員の意欲の源だ。 「大変さはありますが、何を目指すかを見据えて、生徒や学校が変わっていくのを感じながら働けるので、やりがいや楽しさがあります」(2学年主任・見浦進理先生) 現在は、授業でどんなコンピテンシーが育成できたかを振り返り、授業改善に生かす方法の検討を進めている。今後もつながりの見える化を図りながら、変革を推進していく方針だ。教員の組織的な動き学校経営目標の意識化つながりの見える化働き方改善につなげるためのポイント教員個人がばらばらに取り組むのではなく、組織として、知識やスキルを共有し業務をうまく分散させながら動くことで、個人の負担や負担感は軽減されるだろう。そうした組織的な動きの中心軸となるのが、学校経営目標だ。同校のように、学校経営目標と指導・業務とのつながりが見やすい図や表で示され、目標設定時などさまざまな場面で常に意識させる工夫があることで、組織的な動きの効果が高まり、一層働きやすくなりそうだ。PickUpキーワード個人目標設定用シート部内役割分担表(教務部の例)図5図6つながりが見えることが働きやすさややりがいへ改善による効果綿密な現状把握の上効果的に業務を効率化年度当初に学校(校長)として示した学校(校長)の目標と、部署の目標、個人の目標との連鎖がわかるように記載表の縦軸に時期別の業務内容、横軸に教員氏名を入れ、誰にいつどんな業務が発生するかがわかるようにしている。連鎖連鎖「多忙」とどう向き合うか…府中高校「働き方改革」で、どこへ向かう?Report 05252017 OCT. Vol.419

元のページ  ../index.html#25

このブックを見る