キャリアガイダンスVol.419
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「チームとしての学校」が描く これからの教育現場ふじわら・ふみお●1967年生まれ。東京大学教育学部卒業後、民間企業勤務を経て、東京大学大学院教育学研究科博士課程単位取得退学。静岡大学教育学部附属教育実践総合センター講師、助教授、准教授、同大学院教育学研究科准教授を経て、2010年1月より現職。日本教育事務学会事務局長。著書・編著に、『「学びの環境デザイナー」としての学校事務職員』、『学校事務職員という仕事・生き方』、『新人学校事務職員のワークとライフ』、『事務職員の職務が「従事する」から「つかさどる」へ』(すべて学事出版)など。取材・文/堀水潤一 撮影/西山俊哉、広路和夫(砂時計)国立教育政策研究所初等中等教育研究部総括研究官藤原文雄これからの学校はチームなくして成り立ちません。校内、そして地域の人材といかに協働して取り組んでいくか。数少ない学校事務職員の研究者である藤原文雄氏と、学校と地域を結ぶ積極的な活動や提言で知られる生重幸恵氏に、これからの学校はどうあるべきか伺いました。リソースマネジャーとして期待される学校事務職員 今なぜ「チームとしての学校」という考え方が求められるのか。 2015年に出された中教審答申「チームとしての学校の在り方と今後の改善方策について」では、その背景を次のように説明しています。 ①新しい時代に求められる資質・能力を育む教育課程を実現するため ②複雑化・多様化した課題を解決するため ③子供と向き合う時間の確保等のための体制整備。言い換えるなら、「教育水準の向上・ケア水準の向上」とともに、「教員の長時間勤務の是正」が課題だという指摘です。 その手立てとして、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、部活動指導員(仮称)の配置といった専門性に基づくチーム体制の構築が提案され、また、マネジメント機能の強化の視点から事務職員の活用という考え方が出てきました。(図1) この答申の延長線上にある17年に出された「学校における働き方改革」に関する諮問文においても、同様のことが諮問理由に書かれています。 つまり働き方改革とは、ともすれば対立する二つの目的を同時に克服することを目指した「二兎を追う」改革であること。その難題を解決する手段の一つとして事務職員が注目されているということ。まずは、そうした背景を理解することが大切です。 そのうえで、学校教育法の改正に伴い、今年度より事務職員の定義が「事務に従事する」職から「事務をつかさどる」職へ変わったことをご存知でしょうか。与えられた職務をこなすだけではなく、学校全体を見渡しながら立案・調整・判断する。高校の場合、これまでもその役割が求められていた事務長に加え、全事務職員に「つかさどる」役割が期待されるのです。 教育の仕事は、個別の学校の実情もあって、やってみないと成果がわからないことが多いもの。また、新しいことをするには法律の裏付けや予算の確保も必要です。そうしたなか、ヒト・カネ・モノ・時間などの資源を調達することで、教員の事務負担を軽減しつつ、質の高い教育が提供できるよう支援する。あるいは貧困など危機にある子どもがセーフティネットから落ちないようケアする。さらに、現場や保護者の思いとリソースにギャップがある場合は、教育委員会に訴えるなど行政とのパイプ役を果たす。そうした数々の役割が期待されているわけで、「リソースマネジャー」とも呼べるでしょう。そして、教職員自身も大事なリソースです。業務改善を進め、メンタルヘルス管理をリードすることも事務「二兎を追う」改革のなかで注目される事務職員という存在282017 OCT. Vol.419

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