キャリアガイダンスVol.419
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 教師という職業は、職人気質のところがあるように感じています。自分のことだと思うと人に任せないし、学校のことはすべて自分たちでやらなくてはと気負い、必要以上に閉鎖的。 もちろんそうなる理由もわかります。自分の子どものことだけに熱心で、何かあれば責任を押し付けてくる一部の親や、「うるさいからうちの前を通るな」と理不尽な文句を言ってくる一部住民の存在です。学校がなくなっいくしげ・ゆきえ●1956年生まれ。公立中学校のPTA会長時代から教育活動支援に携わる。2002年、学校内外の教育支援を通した地域活性化を目指し、近隣学校のPTA会長経験者と共にNPO法人スクール・アドバイス・ネットワークを設立。現在、文部科学省中央教育審議会委員、内閣府地域活性化伝道師、キャリア教育コーディネーターネットワーク協議会代表理事ほか役職多数。特定非営利活動法人スクール・アドバイス・ネットワーク理事長生重幸恵地域の教育力を学校現場にもたらすコーディネーター地域は重要なパートナーただし丸投げはしないで「チームとしての学校」のイメージ図1※文部科学省資料をもとに作図事務長校長教諭教諭主幹教諭指導教諭養護教諭栄養教諭事務職員部活動指導員(仮称)スクールカウンセラースクールソーシャルワーカー副校長・教頭専門スタッフ地域社会継続的に連携・協働連携・分担連携・分担連携・分担職員には期待されます。 しかし、そうした役割が期待される一方、地域差はありますが、高校における事務職員には厳しい現実があると言わざるを得ません。財政難による定数削減や世代交代、採用の一本化などの問題です。特に深刻なのが行政からの評価や学校内での地位の低さです。窓口対応という業務上の制約があるとはいえ、事務長以外は参加することの少ない「職員」会議。教育現場に携わりながら、その集大成である卒業式などの式典に出席できないケースがあるという現実。もちろん、管理職や教員と協働しつつ、生徒の人生にまで影響を与えている事務職員もいます。しかし、多くは実務の処理に追われているのが実情です。 そのため管理職がするべきは、学校教育は多用な職種や任用形態で推進されていることを改めて自覚すること。教職員間で良好なコミュニケーションや学びあいが実現する手立てを打つこと。そして各自が専門性を存分に発揮できる場を創造することです。 そもそも行政職員とは、住民が困っていることに対して仕組みをつくり、成果を検証する職種。なのに、購入した教材がどう活用されているのかさえわからないのが現状です。企画から関わり、それがどう学びの質を規定しているのか、効果まで知ってもらうことも大切ではないでしょうか。 事務職員が教育の質や地域づくりに貢献する方法はいくらでも存在します。ある工業系の高校では、事務長が地域住民から「子ども神輿」の作成を打診され、管理職や建築系の教員と相談したところ、課題研究として取り組むことになり、渉外および調整役を引き受けることになりました。また、美術系コースをもつある高校では、通学路の安全・美観確保のため、事務長が国土交通省と交渉。予算を確保し、美術部の活躍の場面を用意しつつ改善を図りました。この取り組みは新聞にも大きく取り上げられ、広報の機会にもなりました。 さらにある高校では、生徒の提出物を整理する棚を整備するとともに、会議の見直しを図るなどして、教員の多忙化解消に取り組みました。教員と事務職員がチームとして協働するうえでも環境整備は重要。多様な職種が集い、コミュニケーションを誘発する施設デザインがこれからは求められます。学校事務職員は、単なる施設管理ではなく、教育の質を高める施設管理を目指してほしいと思います。● 学校の中核的業務が授業にあることは間違いありません。しかし、授業は教員の力だけで成立しているわけではないのも事実。すべての教職員が仲間として、それぞれの専門性を最大限に活かしながら、単独ではできないことを達成する。それこそ理想的な学校づくりの姿ではないでしょうか。「チームとしての学校」が描くこれからの教育現場「働き方改革」で、どこへ向かう?Message292017 OCT. Vol.419

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