キャリアガイダンスVol.419
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た地域は消滅する地域。人口減少社会において学校が地域にあることのありがたさを知ってほしいと思います。 そのために、例えば、合唱部や吹奏楽部の活動が盛んであるのなら定期的にコンサートを開くとか、図書室を開放して読書会をするとか、保育園を訪問して絵本の読み聞かせをするなど、「〇〇高校があってこそのうちの地域」と思われるようになること。それによって、「なるほど、俺らも高校生に頼っているな」「私にできることがあれば手伝いたい」という反応が地域の人に生まれるでしょう。 そうしたなか、教員だけでは担いきれない、あるいは必ずしも教員が行う必要のない業務を地域が支援することで、教員が教育活動に専念できるようになるだけではなく、教育の質が飛躍的に向上すると思います。 ただし、地域は共に子どもたちを育てるパートナーであって、単なるアウトソース先ではありません。だから丸投げはだめ。先生方はファシリテーターとして、外部の資源を有効に活かせる人材にならないといけません。職場体験学習や出前講義、地域のイベントへの参加であれば、「この活動にはこういう意義があるから、こんな指導をしてください」「こういうところを褒めていただくとありがたい」など、きちんと伝え、教育的価値付けをする必要があります。子どもたちに向き合うのはとても難しい仕事。それができるのは先生しかいないのですから。 「チームとしての学校」と言いますが、なかなか難しい。私の実感ですが、それでも小学校はチームをつくりやすく、中学校は教科担任制になるものの学年で動くことが多いため意思疎通が容易です。それに対して高校は分掌ごとに分かれがちで横の連携がとりづらい。先生方が孤立しているように感じます。まずはそうした枠を取り払う。同時に、教職員間だけではなく、校外にもチームメイトがいることを改めて意識してほしいと思います。 できれば高校も、学校運営協議会を設置して保護者や地域の意見を学校運営に反映させるコミュニティ・スクールにならないと。そこに、同窓会や商工会、商店会の若手など、学校改革や地域活性化に関心をもつ人材に入っていただき、共に未来志向で考える。小中と比べて圧倒的にその数は少ないものの、ここにきて、私のもとにも全国から相談や問い合わせが増えていることに期待しています。 地域との連携にあたっては、学校事情や地域の実情に精通したコーディネーターを積極的に活用してください。せっかくの連携も、学校側の意図を十分理解し、共有できなければ不十分なものになるからです。過疎が進むある地方の高校では、市役所の若手職員が年10回ほど高校を訪れ、地域の課題や活性化の方法について話し合う授業をしていました。企画したのは地元出身の若いコーディネーター。彼の話を意気に感じた校長と、プレゼンに心動かされた市の人事企画部長協力のもとで実現した取り組みであるとのこと。結果、生徒から「こうした学びを続けたいので大学に進学し、卒業後地元に貢献したい」「東京に出たあとも故郷を応援しつづける」という発言がでるようになっています。 コーディネーターは、異動がある教員とは違い、継続的に地域とのパイプ役になることが可能です。何より期待してほしいのは、先生方同様、教育に対する熱意がある点です。● 高校をはたから見て感じるのは、ビルドばかりでスクラップがないこと。国や自治体から下りてきた施策を担当者が形にするまではよくても、異動した途端、形骸化が始まってしまう。引き継いだ担当者に思い入れがないと、形だけなぞってしまうのです。多忙多忙と言われますが、意義が感じられないことをしているときほど多忙感が増すことはありません。常に目的に立ち返り、無駄なものは捨てる。カリキュラム・マネジメントの発想はそうしたところにも活かされるはずです。学校と地域の懸け橋となるコーディネーターという存在チームメイトは校内にいるそして地域の中にも大勢いる「チームとしての学校」が描くこれからの教育現場「働き方改革」で、どこへ向かう?Message302017 OCT. Vol.419

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