キャリアガイダンスVol.419
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322017 OCT. Vol.419日野田直彦(大阪府立箕面高校 校長)【ハミダシ語録】「実は大阪の民間人校長募集にも合格していたのですが、当時6歳になる娘の反対で断念しました。祖父母と離れたくない。一家は一つと言われてしまったのです。その後運良く、自宅から通える横浜市でも募集がかかりましたが、教育は家庭が基本であることに気付かされた出来事でした。私はそれまで仕事に全力投球で、自分以外のことで意思が曲げられるのは初めての経験。家族のために自分を犠牲にしている世の多くの人たちの気持ちを改めて知りました」(平川校長)働き過ぎは、生徒にブラック企業で働く癖をつけるようなもののは東日本大震災復興財団の専務理事という立場で復興に関わるなか、復興の最前線であり、地域の要である学校でがんばる高校生が被災者に元気を与える場面を多く見たことです。ただ、緊急時には地域に開かれていた学校が再開した途端に閉じていくのも見てきました。もっとオープンになることで教育力は増す。そんなことも考え、この世界に飛び込みました。――学校現場に身を置いて、どんな気づきや違和感をもちましたか?平川▼赴任前は、やる気のない先生に扱いにくい生徒という、マスコミで伝えられている姿を想像していました。しかし、制約が多いなか、身を粉にしてがんばる先生ばかり。自分の成長ではなく、子どもの成長のことしか考えていないというメンタリティは、これまで私がいた職場にはないものでした。日野田▼塾から学校に移り最初に驚いたのは、生徒の指導をめぐり教員同士が議論をしているときに「そんなに強く指導したら生徒が潰れてしまう」という言葉を聞いたときです。民間では、結果さえ出せば多少の犠牲は止む無しという風潮もあるなか、生徒を潰さないことが大前提。学校では当然ですが「生徒を大事にする」という部分を新鮮に感じました。荒井▼赴任前に目を通した教員アンケートには「生徒も保護者も問題が多い」など、ひどいことばかり書かれていました。けれど一人ひとりと話すと一様に前向きで熱い。確かにビジネスパーソンとしてのスキルセットが足りない先生もいます。しかし、人に対するパッションは企業人よりはるかに高い。それは消費者やユーザーという呼び方ではなく、○○君という個人と日々向き合っていることからも明らかです。なのに一般論として学校に問題が多いのは、組織や学校文化に課題があるからだと感じています。平川▼私も、時間に対する感覚のずれだとか無駄が多いことに苛立つことはあります。ただ、学校現場は企業のように3カ月単位の短期決戦を強いられる場ではありません。長いサイクルで見守る必要があるため、守りに入りがちなのも理解できます。だから、まずは違いを知る。そのうえで徹底的に議論する。私はガンガン言いますし、先生方も引きません。でも、そういう人ほど、きちんと仕事をしてくれています。――教員の「多忙」についてはどのように感じ、どう対応していますか?平川▼民間企業ほどではないだろうと思っていましたが、部活動や膨大な文書作成、保護者対応など、本当に大変な仕事なのだとわかりました。たひのだ・なおひこ●1977年生まれ。同志社大学文学部卒業後、学習塾に勤務。社会科の教科リーダー、研修リーダーなどとして活動。2008年学校法人奈良学園による公募に応じ、奈良学園登美ヶ丘中学校・高校の設立に関わり同校教諭に。その後、大阪府の公募等校長制度に応じ、14年より現職。ほぼ0だった海外大学進学者を、2017年度入試では36人に伸ばすなどグローバル教育で注目される。

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