キャリアガイダンスVol.419
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452017 OCT. Vol.419そんな時は、教師の役割を一旦脇に置いて「教師としてではなく、一大人として話してみて」と対応してみてください。 話すなかで、どうしても進路を変更したいということであれば、どうやってうまく変更していけるか援助する姿勢も大事です。どんな方向があるのか、資料やフローチャートなどで示しながら考えていくと、お互い冷静にもなれて効果的です(※)。中学時代に行うような進路指導をやり直しする感じですね。現実的になってみると「やっぱり学校に残る」という選択肢に戻ることも結構ありますし。万一、進路変更したとしても、「自分の将来や社会適応にとって価値のある時間を高校で得られた」と、学校への良い思い出につながるのではないでしょうか。このようなケースで、スクールカウンセラーならどう対応されるのか。先生たちとの協力のあり方などもお伺いしました。 進路変更は、必ずしも悪いことばかりではありません。メリット・デメリットをわかったうえでの選択肢としてはありうるものです。ただ、そのためにはそれなりの準備が必要になります。まずは本人の感情を否定せず、寄り添いながら話を聞いていくことが大事だと思います。学校を辞めたいという気持ちがありながらも学校に来ているという事実を認めてあげたいと思います。 1年生のこの時期に言い出すケースとしては、不本意入学の生徒の場合がありえます。1学期中に、高校生活の目標を見出せなかったのかもしれません。そこで、生徒なりの目標の再構築を、担任の先生と一緒に支援していくことが多いです。1学期に良かったところ、がんばったところを先生からフィードバックしてもらい、将来展望や仕事調べなどをしながら目標設定していけるといいと思います。ガイダンスカウンセラー 木村佳穂さん2005年、岩手大学大学院教育学研究科修了後、青森県と栃木県で6年ずつスクールカウンセラーとして勤務。2017年3月まで、早稲田大学教育・総合科学学術院で非常勤講師も務める。再度、1学期中の学校生活などを振り返り将来展望を再構築してみるスクールカウンセラーの視点(※)「キャリアガイダンス誌のバックナンバー(2012.12 No.44)P.34のチャートが大いに役立ちました」と苅間澤先生。家族との関係やクラスの友人関係、地元での関わり、本人の気持ちなど、きっかけや経緯がよくわかってきます。それによって本心から言っているのか、そうでないのかなどもわかってくる場合もあります。もし本気で考えていても、一緒に目標を立てその目標を応援してあげたり、認めたり褒めたりすると、変わってくる場合もあります。 家族への連絡を入れる場合には、それを嫌がるケースもあるため、「今後○日間欠席までは家庭連絡はいれないけど、超えた場合には家庭に連絡するよ」など、柔軟な対応をすることで登校しだすケースもあります。 そういった話を深めるためにも、日頃からの信頼関係構築が大事だと思います。授業の空き時間にクラスでの様子をたまに見に行ったり、休み時間に声をかけるだけでも違います。生徒は、「見てくれているんだ!」 とか、「話を聞いてくれる!」という気持ちになると、「辞めたい」と思うようなことが起きても乗り越えていけると思いますし、実際にそのようなケースもありました。  長期休暇(春・夏・冬休み)明けは、教員でさえ、「また始まるのか…」といった重い気持ちになるので、生徒が「何か行きたくないなあ」という気持ちになるのは当然であるということから話を始めたいと思います。 学校に限らず、物事は「最初の一歩」を踏み出すのがとても億劫なものです。学校に行って友人たちと話をしているうちに、「行きたくないなあ」という気持ちは解消していくはずです。しかしながら、なかには、「なんとなく」ではなく、「明確な理由」が存在するケースもあると思います。 話をしていくうちにわかる、クラス内で人間関係のトラブルがあったとか、昼夜逆転の生活になってそこから抜け出せないとかです。このようなケースでは、根っこにある問題が解決しない限り、学校に対する前向きな姿勢を示すことは難しいかもしれません。スクールカウンセラーの力を借りるなどして、「中立な立場」の人の意見を聞く機会を設けてはどうでしょうか。私も以前同様なケースがあり、保護者と一緒にカウンセラーに相談に乗ってもらったことがあります。それでも本人と保護者の意思が変わらなかったので、進路変更の手続きをとりました。その生徒は、通信制の学校に転学しました。環境を変えることで、うまくいくこともあると思います。 夏休み明けに、理由を明かさずに退学していった生徒がいました。数カ月後に「ブラックバイト」が原因だったことを知り、やり切れない気持ちになりました。学校として担任として、何かしてあげられなかったのか…という無力感に襲われました。退学後に偶然、保護者とじっくり話す機会があり、保護者と関係ができ、自宅に何度か電話をして元生徒が元気に働いていること、昔の級友とも時々会っていることを知り、学校と「繋がっている」ことを、とても嬉しく思いました。辞めたい気持ちの大元としっかり向き合う(千葉県・県立 茂原樟陽高校 宮澤 勝先生)このコーナーでは、毎回、ケーススタディへの「私ならこうする」をwebアンケートで募集しています。また、こんなケースを取り上げてほしいというご希望もあわせてどしどしご応募ください。http://souken.shingakunet.com/career_g/case/

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