キャリアガイダンスVol.419
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 岩手県立大船渡高校は昨年度、2学年主任(当時)の高橋知己先生が地域課題解決型学習を学年に導入した。2学年の齊藤芳朋先生、1学年の梨な子し田だ 喬先生は今年度から「大船渡学」を担当。プログラム設計と、地域とのコーディネートには大船渡市市民活動センターアドバイザーとして市役所から紹介された、東北学院大学特任准教授の菊池広人先生が協力している。 「大船渡学」のプログラムはシンプルだ(図1)。まず識者の講演により地域課題に取り組む意義を知り、自らの探究課題を明確にし、仮説を立て、調査プランを策定する。夏季休業中に調査を行い、得た知見を発表する。年度当初に計画した授業回数は5回から7回(10時間程度)だ。 「地域〝を〞学ぶのではありません。生徒が探究したいことを起点に、地域=実社会での調査を通じて、知を生み出すこと。そのプロセスでつく力や、ものの見方の変容に主眼を置く『大船渡のことを学ばない大船渡学』なんです」(梨子田先生) 大切なのは問いを立てる力。今年度、生徒が立てたのは「初等教育でどのような社会性を養えばよいか。それはひきこもり対策として有効なのか。授業方法を変えることで社会性を養えないか」(1年生)といった普遍性のある問いだ。これを検証するために地元の小学校でのインタビュー調査を行う。 大きな構造は共通しているが、1学年は「地域をフィールドにすることで〝課題解決力〞を高める」「地域と自分の可能性を発見する」ことを到達目標にチームで探究活動を行う。さらに課題解決のためにアクションを起こすことも期待している。2学年は進路も意識し、個人で「自分が創り出したい〝知〞の方向性を明確にする」「地域をフィールドに〝知〞を生み出してみる」ことが目標。2学年の後半では従来からの進路学習と接続し、オープンキャンパスなどで情報収集し、自分が一緒に探究したい研究者を探す計画だ。  問いを立てる最初の段階では、菊池先生が学年全体に対して授業を行った。まずマインドマップの練習として初回の講演内容をまとめる。次は「学びたいこと」を白紙の中心に置いて連想を広げていく。この過程では心理学や芸術といった対象について自分が知っていることや、なぜ学びた問いを立てることができればどんな授業も主体的に学べる地域をフィールドに学ぶが、地域についての知識を得ることが目的ではない。目指すのは、自ら知を生み出せる人、課題を解決できる人を育てること。「大船渡のことを学ばない大船渡学」を掲げ走り出したばかりの取り組みをレポートします。「大船渡のことを学ばない 大船渡学」で 自ら知を生み出せる人に取材・文/江森真矢子大船渡高校(岩手・県立)第13回図1 平成29年度「大船渡学」の流れ(計画時)大きな枠組みはあるが、学校の状況に合わせて柔軟に時間を設けている【インプット】講演により地域課題解決型プログラムの意味を知る【問いの設定】自分の興味・関心と実社会の問題をつなげ課題を見出す【調査】地域の関係者へのインタビューや文献調査を行う【ふりかえり】活動をふりかえり、次の学びへとつなげる【発表】調査・検証の結果を発表する【検証・まとめ】調査結果から得た知見をレポートにまとめる【計画】仮説を立て、調査の計画を立てる「大船渡学」のレポート書式などワークシートは下記からダウンロードできます※ダウンロードサイト:リクルート進学総研 >> 発行メディアのご紹介 >> キャリアガイダンス(Vol.419)522017 OCT. Vol.419

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