キャリアガイダンスVol.419
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2012年6月の学長就任以降、全学をあげた教育改革に取り組む原動力になったのは、私が入試委員長時代に感じていた危機意識です。志願者が減り続けていた当時の状況を打開すべく高校の先生方にヒアリングを重ねていくなか、教育について厳しいご意見をいただいたことがきっかけでした。本学は工業大学として長い歴史をもちますが、その伝統故に「学生は自ら学ぶもの」という昔ながらの考え方が残っていることも指摘されました。確かに、多様なタイプの学生が入学する今、一人ひとりへの目配りのない一方的な授業では、教育効果が表れないどころか、学ぶ意欲が失われ、結果的にを整えました。16年に学部の再編を行い、5学部17学科に整理したことや、一定の条件のもと1年次の前期から転学部・転学科を認める制度をつくったのも、学生が本当に学びたいことをきちんと学べるようしたいという目的あってのことです。 また、学生による記名式・自由記述の授業評価をもとにFD委員会が改善点をまとめて公開し、授業改善を図る取り組みも開始。評価の高い教員は表彰のうえ、授業を公開してもらっています。加えて、教育効果が高いと思われる授業実践はFDフォーラムの場においてポスターセッションとして発表する取り組みも好評です。 大学の主役は学生です。大学は学生が学びたいことを学ぶ場であって、教員が教えたいことを教える場ではありません。学生一人ひとりの能力をいかに伸ばすか。大学の真価が問われるのはその点につきます。お陰さまで本学は16・17年の一般入試志願者数が全国で9番目に多い大学になりました。私たちが実行してきた教育改革に加え、研究実績や社会貢献を高く評価してもらえた結果だと思っています。今後も優れた教育を提供できる大学であり続けるために努力を積み重ねていきます。【学長プロフィール】こみや・かずひと●1961年生まれ。早稲田大学理工学部卒業。同大学院理工学研究科博士後期課程修了。早稲田大学理工学部助手、千葉工業大学工学部助手、専任講師、助教授、ケンブリッジ大学工学部専任助教を経て、2001年より千葉工業大学工学部教授。12年より現職。【大学プロフィール】1942年創立。工学部(機械工学科、機械電子創成工学科、先端材料工学科、電気電子工学科、情報通信システム工学科、応用化学科)、創造工学部(建築学科、都市環境工学科、デザイン科学科)、先進工学部(未来ロボティクス学科、生命科学科、知能メディア工学科)、情報科学部(情報工学科、情報ネットワーク学科)、社会システム科学部(経営情報科学科、プロジェクトマネジメント学科、金融・経営リスク科学科)の5学部17学科。教育力を徹底的に強化。一人ひとりが成長できる、学生主役の大学であり続ける留年や退学する学生が増加してしまいます。私たちはその事実を深く受けとめ、教職員が一体となり、多くの教育改革を実行してきました。 その一つが、全学部の授業に導入した講義の再開講・再評価システムです。わずかに点数が足りず単位が取れなかった学生に対して、学期終了後に集中的に講義を再開講。教職員には大変な負担となりますが、少人数の学生を徹底的にフォローすることで、従来では補えなかった教育効果を発揮し、留年者と退学者を減らすことにつながりました。 同様に、仮進級の制度や通信制大学の単位を組み込める制度も開始。学びたいことをスムーズに学べる体制̶変革に挑む̶まとめ/堀水潤一 撮影/平山 諭千葉工業大学学長小宮一仁552017 OCT. Vol.419

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