キャリアガイダンスVol.419
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小テストのタイムアップ後、菰田先生は毎回「全問正解は?」と確認する。次々に手をあげる生徒たち。ちょっと得意気だ。ようになり、『できる』ようになり、『自信がつく』と『主体性が出てくる』。教師の創意工夫で『生徒全員がわかる授業にすること』と、『生徒一人ひとりが主体的になること』は、別の話ではなくて、僕のなかではつながっていることなんです」 だから菰田先生は、生徒が常に主体的に考えたり話し合ったりしていけるよう、授業では「一人も置いていかずに」自信をつけることを目指している。目標は、「受け持った生徒全員が『得意科目は数学』と言うようになること」だ。 授業は基本、予鈴後まもなく配布する小テストから始まる。模擬試験対策を兼ねた難易度の高いものだが、あるからくりで皆が全問正解の合格を目指せる(58ページHINT&TIPS参照)、だから、できた喜びと「これで模試も点が取れそう」という自信を得ようと、生徒たちは強制でもないのに、なんと授業開始のチャイム前から席についてテストに取り組む。生徒を見取って授業をデザイン「『志望校合格』も大事だが『社会で生きる力の育成』も大事」と、この両者は相反することのように語られがちです。しかし“生徒全員の”志望校合格を本気で目指すなら、生きる力も高まるようです。そう感じられる事例をご紹介します。取材・文/松井大助撮影/大森麻日香 数学を教える菰田先生は、これまでの勤務校で、「主体性のない子が多い」ことに課題を感じてきた。また、「相手に伝わるように説明する力が弱い」とも。穴埋め問題は解けても、その解答にたどりつくまでのプロセスを書かせよう、話させようとすると躓く。それではこの先、通用しなくなる、と菰田先生は考える。 「わからないことがあればまず自分で考える。自分から聞きにいく。わかったことは相手に説明する。そうして周囲と協力して問題を解決していく力は、どの仕事でも必要ですよね。そのうえ、思考力や表現力は大学入試でも問われていますから」 主体性や思考力・表現力の不足は、今いる進学校、諫早高校の生徒にもしばしば感じるそうだ。ただし、それは生徒がダメなのではなく、教師である「自分のせいだ」と菰田先生は受け止めている。 「前年の定期テストが6点だった生徒を受け持ったことがあります。それをその子が悪い、と考えるのが僕は嫌なんです。教師のせいとは思わないのかな、と。実際、その子は定期テストで60点を取るまで伸び、すると授業にも積極的に参加するようになりました。生徒が『わかる』諫早高校(長崎・県立)生徒が主体性に欠けるのは「教師のせい」という視点間違いを恐れずに生徒が先読みして声を出す大学院卒業後、2年間の講師を経て個人塾を開業。30歳のときに私立高校の教員となり、39歳から公立高校に転身。予備校主催の教員研修を毎年4回受け、数学の問題を1週間に100題解く目標も自分に課している。一番大事にしていることは生徒との信頼関係を築き上げること。数学菰こもだ田 清先生562017 OCT. Vol.419

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