キャリアガイダンスVol.419
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授業で生徒に育みたい要素知識能力意欲・態度育みたい要素数学の各分野の定義やその意味・ 定義から各種公式までを生徒がやみくもに覚えるのではなく、定義をもとにさまざまな公式を導き出すことを、生徒自身が授業で体感。その意味や成り立ちから理解してもらう。知識を使って自分で考える力・ 定義や公式、アプローチ手法など、学んだことを使って、生徒が問題を解くことに挑戦する表現力・コミュニケーション能力・ 皆で協力して問題を解くときに、口頭や書面でわからないことを相手に聞き、わかっていることを相手に説明する、という経験を積む主体性・積極性・ 生徒全員が「わかる」「できる」授業をすることで自信を育み、おのおのが自分で考えたり、話し合ったりしたくなるようにする相手の考えを否定しない態度・ 解き方が一つとは限らない数学の問題を通して、ほかの人のいろいろな考え方にふれるそれが今・将来にどう生きる?無駄の多い暗記をしなくなる仕事や私生活の応用力が高まる・ 研究開発や市場分析などの仕事で、多様な数学的手法を覚えるだけで疲弊することなく、必要なやり方を基礎の応用でそのつど導き出せる・ 98²-2²を(98+2)(98-2)と因数分解して解くなど、日常の計算でも応用力を発揮できる企画や課題解決に強くなる・ さまざまな情報を組み合わせて、新たなアイデアを生み出すことや、課題の解決策を考えることができるようになる多様なプロジェクトで活躍できる・ プロジェクトでチームのメンバーと協力しながら、目標達成や課題解決を目指していける学び続けることができる・ 高校や大学や職場で、受け身にならずに、必要だと思うことを自分から学んでいける困難に遭遇しても立ち向かえる・ 困難なことに出遭っても、どうすればいいか自分で考え、人にも相談し、協力して立ち向かっていける今はウキウキしながら解いている」「声に出すことで頭にも良く入るし、記憶にも残りやすい」といった声を寄せてくれた。 2校目が、進学校の今の諫早高校だ。「教えすぎず、生徒に考えさせる」ことを今まで以上に意識。先読みをすると問題も自力で解けることが多く、生徒は自信を深め、例えば今夏の模試では、全体の成績が底上げされ、偏差値80以上も例年の2倍の人数に。生徒は菰田先生を信頼し、授業に食いつくようになった。 こうなると先読みはさらに進化する。1年もすると、まるで掛け合い漫才のように、先生と生徒のあいだでポンポン小気味よく言葉が交わされるようになるのだ。 その勢いはほかの授業にも伝播する。例えば物理の先生が、皆の注意を引くた 先読み確立後、1年生から3年生まで教えた生徒たちは、クラス34名のうち27名が国公立大学に合格するほどの目覚ましい成長を見せた。高校側の求めていた成果を出せたことで、菰田先生はさらに広い世界で腕を試してみたくなり、学校異動のある公立高校の教員に転身する。 その初任となる進路多様校では、1年目から数学の偏差値を20〜30上げることができた。授業のアンケートを取ると、生徒たちは「大嫌いだった数学の問題をめに「これは?」と疑問形で言って、自ら説明しようとしたとき。期せずして生徒たちからドッと返答が押し寄せ、先生が驚くことも少なくないという。授業中に生徒が率先して発言することが増えていった。 そうして主体的に学ぶようになった生徒たちが、行きたい大学に合格し、喜んで報告に来てくれたとき、菰田先生は教師のやりがいを一番感じるという。 「子どもたちは『数学のおかげ』とも良く言ってくれるんです。ただ、そこで自分の課題も見つかります。合格させてあげられなかった子もいますから。3月には落ちた子たちの前で泣いてしまいました。申し訳なくて。数学が満点なら合格したかもしれない。どこが悪かったか良く考えて、思考力や表現力をもっと鍛えられるような授業にしていきたいです」 授業を磨き続けるのと併せて、もう一つ目指していることがある。その授業のノウハウを、広くシェアしていくことだ。月1回、数学の勉強会を開催。2人で始めた会は、今では公立・私立の数学の教員15名前後が参加する規模になった。 「昔は、自分が必死に考えたことは隠しておきたかったんですね。けれども、ある話を聞いてハッとさせられたんです。かつて数学の学力レベルが高かった地域で、教えるノウハウが引き継がれなかったために、その後、学力が落ち込んだ、と。一人でやっていてはダメだと思うようになりました。長崎、九州、全国の先生たちと情報を惜しみなく共有して、授業のノウハウを次代に継承していきたいです」生徒はこう変わる「できる」という自信から学ぶこと全般に積極的に■ INTERVIEW――「先読み」をすることに最初は戸惑いませんでしたか?「びっくりしたけど、ノートを取らずに話を聞いたら集中できました」「このほうが覚えられることを、やっていくいうちに自分でもわかってきて、やっぱり声を出したほうがいいと思うようになりました」――問題がわかった人から座る「立ち話学習」は焦りませんか?「菰田先生の授業は、立っていても恥ずかしくない雰囲気なんです」「自分だけじゃ解けないところも、ほかの人がいろいろな視点をもっていて、それを聞きながら考えると、わかってくるので、楽しいです」――菰田先生の授業の特徴といえば?「高校の授業はペースが早いイメージがあったけれど、菰田先生はゆっくりわかりやすく説明してくれます。でも教科書はどんどん進むんです」「やって意味のあることを教えてくださいます。模試や入試にも直結しているし、難しいことも先生直伝の鉄則をもとに考えるとわかるんです」――中学生のときは、数学は得意でしたか?「得意でした。授業は今のほうが楽しいです」「そうでもなかったけれど、今は一番得意です」ゆっくりわかりやすく説明してくれるのに教科書の内容はどんどん進んでいく1年生の皆さん592017 OCT. Vol.419

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