キャリアガイダンスVol.419
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 地域を代表する進学校の一つである西宮市立西宮東高校。市立なので教員の転勤は少なく、長年、学年団がほぼ同じメンバーで3年間持ち上がるスタイルが定着していた。「チームワークも良く、進路指導に関することもその都度学年で決めてきました」と弘中洋介先生。しかし、ここ数年、県立高校から異動してくる教員も増え、「3年間のしっかりとした流れを意識した進路指導が必要では」との意見が聞かれるようになってきたという。 現2年生の54回生が入学したとき、課題や目標を話し合い、3年間の流れを意識した進路指導を目指そうということになった。そのとき課題として浮上したのが、生徒が志望校を安易に決めているのではないかということ。7〜8割の生徒が国公立大学を志望して入学してくるものの、多くの生徒が徐々に志望を私大に変えていく。「よく考えての結果ならいいのですが、どちらかといえば消極的。この辺りは交通の便が良く通える私立大学が多いんです。そのためどうしても、地方の国立より自宅から通える私立のほうが受験も大学生活もラクという考えになってしまいがち」と弘中先生は言う。 こうして、54回生の進路テーマは「入学時の学力を維持し、生徒の学力にふさわしい大学への合格を目指す」に決まった。目標もなるべく具体的に細かく設定し、教員や生徒が共有できるよう学年通信などで発信をした。 そして、まず6月に「自分史を作ろう」と学年集会「進路の3年間の目標」を実施。7月には『文理選択応援BOOK』を配布し、リクルートによる文理選択講演を実施した。秋は模試の振り返りや保護者講演などをしっかり行いながら、12月の「大学広告を作ろう」へという流れを作った。 今年、2年生の進路目標は「生徒一人ひとりにとってふさわしい学部、学科を選択し、第1志望校を決定する」。6月に学校情報をまとめた『進学事典』とテキスト『学校&学部研究BOOK』を配布。興味関心から気になる学問を見つけ、大学に結びつける学習を行った。「昨年の文理選択のときも同じですが、この2冊を選んだのは、このとおりに進めればすべての先生が指導できる点です。初めての取り組みでしたが、負担感もなく指導の差もなかったと思います」と弘中先生。その後、「地方大学見学会(6大学から選択)」に全生徒が参加した。 「進路目標を作ったことで流れを考えた指導がしやすくなりました。考えていたよりずっと生徒はワークシートなどに真剣に取り組み、自分たちで選んだ大学の見学に対しても意欲的でした。このまま全員が多面的に進路先を分析して、第1志望校を選んでもらえるようになるのが目標。そして、この学習を進路選択に活かし、納得のいく結果を出してほしいです」国公立大学志望の生徒が徐々に志望を近隣の私立大に変更多くの大学に目を向けさせたい大学調べから見学への流れで意欲を喚起西宮東高校(兵庫・西宮市立)課題初めての導入だから全担任が同じレベルで指導できる教材を選択活用 年間計画  目標設定  学問調べ  学校調べ【活用キーワード】取材・文/永井ミカ1963年創立/普通科生徒数920人(男子479人・女子441人)/進路状況(2017年3月実績)大学進学241人、専各進学4人、その他28人リクルートサービスを活用した実践事例【進路】2学年・進路指導担当弘中洋介先生理科の科目選択を考えるためのガイダンスを午前中に受ける。その後、リクルートによる文理選択講演を聞き、『文理選択応援BOOK』のワークシート記入。● 1年7月「文理選択について」● 1年12月「大学広告を作ろう」学校選択のための学習2年生のうちに第1志望校を決めさせたいとの考えから、早めに大学調べを実施することにした。1人1大学を担当しその大学の広告を作る。広告を作ることが大学調べの第1歩であると同時に、成果物は廊下に貼り出し、各大学の膨大な情報に触れる前にさまざまな大学についての概要を知る機会とする。2年生の7月の文化祭でも掲示。『進学事典』と『学校&学部研究BOOK』を使って興味のある分野から学部、そして3校以上の大学を選び、資料を取り寄せる。「同じ学部でも学ぶ内容には大きな差があることを知ってもらいたい」と弘中先生。どうしても、学びたい学部まで到達できない生徒は付属の適性検査に取り組み、自分の興味関心からしっかり考え直すよう促す。● 2年7月「学部学科調べ」学部学科をなるべく網羅するよう、地方の国公立大学6大学に依頼。1人1校を選び全員が見学する。学食を利用したり模擬授業を受けたりする。● 2年7月「地方大学見学会」福井大学、名古屋大学、名古屋工業大学、香川大学、徳島大学、鳥取大学2017年度の見学大学632017 OCT. Vol.419

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